福嶋 司 植生学会会長のおかしな表現: 暴言? 暴論?

一橋植樹会のホームページ(2011年5月31日更新版)の寄稿文「ニホンジカ被害によって日本の植生は危機的状況にある」に妙なくだりを見つけた。東京農工大学大学院教授で植生学会会長である福嶋司氏の記述(2011年2月)である。

問題の箇所は、「頂点捕食者のオオカミを放せという議論は暴言としても」という部分である。

辞書を引くと、「暴言」とは、「礼を失した、乱暴なことば」(広辞苑)、「乱暴なむちゃな言葉」(岩波国語辞典)とある。「オオカミを放す議論」が、なぜ礼を失して乱暴でむちゃなことば=「暴言」なのかわからない。オオカミ復活を議論すると誰に対して礼を失することになるのだろうか。議論は乱暴でむちゃなことなのか。植生学会では、そのようなルールになっているのだろうか。本来、学会は議論の場である。いろいろな意見が自由に議論されて当然である。植生学会ではオオカミ復活を議論し、「暴言」とでも決議したのだろうか。学会長としては深慮見識に欠けている言であるとの印象を持ってしまう。

ひょっとして福嶋教授は、「暴論」と記すべきところを「暴言」と間違って書いたのだろうか。「暴論」とは「乱暴な議論。道理を無視した議論」(広辞苑)「道理に外れた乱暴な議論」(岩波国語辞典)とあるから、まあ、「暴言」よりは「暴論」のほうが文章は通る。とすると、オオカミ復活論が「暴論」だという根拠を説明してもらいたいものだ。

この釈明は同じ一橋植樹会のホームページにぜひとも再寄稿されるべきだろう。オオカミ復活に関しては、内外の研究者、専門家をはじめとした多くの常識ある人たちが、長年月をかけて学問的な議論を続け、米国ではすでに実施されている。また、EUではオオカミの保護は加盟国間の協定事項である。根拠なしに、一方的、頭ごなしにオオカミ復活論を、暴論(福嶋教授によれば「暴言」)と決め付けることこそ、道理に外れていないだろうか。理を尽くすべき学者の言とは思えない。

「暴言」が「暴論」の誤用なら恥ずかしいことである。「暴言」とは、それを言う者に反射することが往々にしてあるようだ。ご用心!

*Available from URL: http://jfn.josuikai.net/circle/shokujukai/kikobun/11/201102_2.htm

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