甲斐の狼 支部報3号

甲斐の狼

新年あけましておめでとうございます。
昨年度の活動報告としまして甲斐のオオカミ3号をお届けしますとともに本年は6月から全国でアメリカとヨーロッパの専門家を招き国際シンポジウム開催を日本オオカミ協会が予定しています。

【1月7日】
山梨県の県会議員すべてと自治体の首長、議長、農業委員宛てに「甲斐の狼」第2号を送付しました。

【1月10日】
富士川町の町長はじめすべての町会議員および役場の各課に「甲斐の狼」を配布しました。

【1月15日】
第2次山梨県環境基本計画への提出意見
はじめに、昭和初期に大日本帝国政府が掲げたスローガン「産めよ増やせよ」の施策によって急速に人口増加が始まった。いわゆる団塊の世代が誕生したのである。そして現在、この狭い国土に1億2,800万人が住んでおり人口密度は 337 人/k㎡である。山梨県も人口過剰でありその密度は 189 人/k㎡である。
というのも FIGU が提唱する人口密度基準は 12 人/k㎡(1k㎡の肥沃な土地は 12 人の人間と家畜そして野生動物を申し分なく養うことができる)であるので山梨県には実にその約 16 倍の人間が住んでいることになります。言わば自然界は無償で人間や動物を養うが増加が進むと共稼ぎや残業をしてまでも生活苦に喘ぐことになる。

それゆえこのような人口過剰は水不足、水質汚染、大気汚染、温暖化などの環境破壊、食料不足、エネルギー不足、土地不足、農地不足、住宅難、就職難、経済格差、ゴミ問題、騒音障害、財政難などまだまだあるがこのように世界や日本、そして山梨県が抱えている環境問題の根本的最大の害悪はひとえに人口過剰にありそこから際限のない問題が生じていることがわかる。少子高齢化が叫ばれて久しいがこれらはひとえに常軌を逸した人口過剰のしわ寄せとしての弊害をいま被っているのである。その証拠に生活苦や将来への希望を持てない子育て世帯にとって劣悪な環境であることが出生率の低下につながっている。

まことに残念なことではあるが日本では自然環境に応じた適正な人口についてまったく研究されておらず基準値も示されたことはない。それにもかかわらず無分別な人口増加は放置されていたのに、減少に転じるや否や、税収減、労働人口減や経済効果を危惧して税金を投じてまで出産を後押ししている。これではいつまでたっても同道巡りで解決の道筋は見えず、このような国の施策が自治体にまで及んで財政逼迫や財政破綻まで起きている。県としての独自の施策を執らず国と歩調を合わせ、抜本的な対策を講じることなく対症療法的な計画で今後10年に及ぶ基本計画とするなら効果はまったく期待できないと危惧しない訳にはいかない。

計画のすべては人口過剰を抑制せずして決して解決することはできないことは断言できるが、少なくとも人口減少を見込んでの最低限の公共投資で自然と人間が調和して生活できる施策へと転換すべきであり、持続可能な循環型社会はひとえに自然が養うことのできる適正な数への人口減少によってのみ可能となるのである。

また有害獣対策として農林業被害を有害獣から防ぎ森林と農作物を守るためにもオオカミ導入は絶対に欠かすことはできない。それはいかなる人為を尽くして捕獲を勧めてもこれまでの経過と今後の狩猟者の高齢化や銃規制の厳しさによる減少を想定するなら絶望的であること、欧米ではオオカミ導入保護へと動いていることを考慮するなら、明治政府が絶滅へとオオカミを追いやった間違いを正すべく県から国に働きかけることが必要であろう。オオカミ導入は特にシカの増加による他の動植物への被害を抑制することに貢献し生物多様性の国家戦略を実現するためにも寄与するのである。

そして安全でクリーンなエネルギーであるところの地熱開発による地熱発電は原発の使用を避ける意味でも是非とも取り入れを検討すべきである。 地熱発電によりすべての動力が電気でまかなうことができるので地球温暖化防止に不可欠な温室効果ガスを出さないのである。以上の人口過剰の抑制とオオカミ導入そして地熱開発の勧めのいずれもが、世界に先駆けてオゾン層の破壊を 1975 年に警告した FIGU の「ビリ ー」エドウアルト・アルベルト・マイヤー氏の助言に基づいて、提案するものであります。

願わくは環境教育に関する教材として、知る限りに於いて FIGU の情報は遥か未来までも見据えた、人間と自然そして地球環境から宇宙にも及ぶ情報を提供しているので採用を検討されてはいかがだろうか。そしてまた世界の人口は国連の昨年発表した70億人は真実ではなく既に82億5千万人であると FIGU のホームページは報じている。
地球の適正な人口は5億2千900万人であるが地球も約16倍の人口過剰となっている。奇しくも先に述べた山梨県の人口密度が適正人口の16倍になっているのと同じである。それゆえ解決の見えない基本計画の策定をしなければならないという頭の痛い苦労の多い状況に置かれている。

人口過剰こそ人類最大の害悪であると! そして最悪の事態に陥ると人類が経験したことのない大気崩壊による人類滅亡が待っているというのである。

いまこそ山梨県から全国へと、人間が環境との調和を目指す模範を示し、日本を変えそして日本から世界へと模範を示し世界に影響を与えることができるなら、地球環境の保全に貢献する県となり、これこそ環境立県、環境日本一、住みやすさ日本一を目指す山梨県の使命ではなかろうか。対症療法的な計画ではなく根本原因を見据えた解決に向けた計画こそ効果が期待できるのである。

環境保全審議委員 山野井英俊

【1月20日】
山梨県選出の国会議員に「甲斐の狼」とオオカミ復活 Q&A を送付しました。

【1月25日】

オオカミが日本を救う!

先日、日本オオカミ協会の会長である丸山直樹(編著)による『オオカミが日本を救う!』とのタイトルで白水社から出版されました。
300ページ2,300円+税

国まさに荒れなんとす・・・との帯封はまさしく日本における森林の荒廃、農業被害、生物多様性への影響、地下水の減水、土砂崩れなどによる地上の人間を含むあらゆる生物の存亡を脅かしているのである。
この書は日本の自然を守り防ぐためのまたとない指南書ともいえよう。心して読まれんことを願うのみです。

まえがき
第一部 日本でのオオカミ絶滅の時代とその原因
第1章 日本でのオオカミの絶滅
第2章 明治時代、東北地方で行われたオオカミの駆除
第3章 オオカミを守れなかったオオカミ信仰
第二部 オオカミ復活の必要性
第4章 オオカミ復活の必要性
第5章 里山や人工林の手入れとオオカミ復活のどちらが先か第6章 増えすぎたシカは森林生態系を破壊
第7章 復活したオオカミはカモシカを救う
第三部 オオカミの分類・生態・補食効果
第8章 日本のオオカミはハイイロオオカミ
第9章 オオカミによるシカなどの捕食者に対する個体数調整効果第10章 狭い日本にオオカミの居場所はあるのか
第11章 島でオオカミは生きられるか
第12章 オオカミ再導入とマングース導入は大違い
第四部 オオカミ復活と獣害防止
第13章 猿害対策としてのオオカミ導入
第14章 イノシシ害とオオカミ導入
第15章 ジビエで獣害は防げるか
第五部 オオカミによる被害
第16章 オオカミは人を襲わないか
第17章 オオカミと狂犬病
第18章 オオカミによる家畜被害発生の可能性
あとがき

【2月5日】
山梨県環境保全審議委員会において先の1月15日「第 2 次山梨県環境基本計画への提出意見」についての返答がありました。議事録より「森林吸収源対策のため、森林の鳥獣害、主にシカ害を防止するためオオカミを導入すること」については、先ほど環境基本計画の審議の際に森林環境総務課長から説明しておりますので、省略させていただきます。」以下、口頭での森林環境総務課長の説明「環境省がオオカミ導入に対して何らかの被害などの危惧を示しているので県としても導入について検討しない。」というものでした。想定していた返答ではありますがひとえに環境省の姿勢が都道府県に行き渡っているかのようです。審議委員会終了後に「甲斐の狼」を審議委員すべてと出席した県の職員に50部ほど配布。石原みどり自然次長へは日本オオカミ協会丸山会長の著書「オオカミが日本を救う!」を贈呈しました。

山野井

 

【3月31日】
書評:「哲学者とオオカミ」マーク・ローランズ著(今泉みね子訳)白水社、A5 276 頁、2013 年刊(定価 2,400 円)
結構とっつき難い書き出しだが、馴れるほどに面白みが増してくる。大学で哲学を教える学者が一匹のオオカミとの生活を綴ったものである。

子オオカミを家に連れ帰ったところ瞬く間にカーテンや家財に害を加えた。オオカミが何にでも興味を示すこと、それに退屈を嫌うということが、その理由だと見抜いた彼はいくつかのルールを決めた。決して独りにしないと誓い、首輪にロープを繋がなくても良いように訓練し、4つのかけ声に従うようにしつけた。つまり、退屈をさせないようにいつも一緒にいて、散歩やジョギング、大学の講義、ラグビーの大会、パーティー、それに酒場にも連れて行った。著者は定住しないで、アメリカ、アイルランド、イギリス、フランスと移り住んだ。こうして、このオオカミは、まったく見知らぬ世界を転々と旅したのであるが、これで別に問題が生じたわけではない。彼がオオカミを深く理解し、一方的に飼育するのではなく、お互いの立場を尊重して共生し続けたからである。

彼は、オオカミだということをとりたてて言ったりはしない。その方が人々を混乱させたり、抵抗感を起こさせなかったからである。オオカミは、彼以外の人間には何の興味も示さなかったし、幸運にも危害を与えることもなかった。一緒に飼っている犬にも他の犬や動物に対して滅多に脅威を感じることはなかったが、売られた喧嘩には負けなかった。

棒切れを投げても、犬のように拾って来て遊ぶことはなかった。何度試みても「拾って来いというなら、なぜ投げるのか」と言いたげであった。オオカミは、犬のように主人に媚びへつらい、一緒に遊ぶことには関心が無かった。このあり様は、孤高で威厳さえ感じさせた。訓練しやすい犬に比べて、オオカミは、問題解決能力、つまり環境適応能力に優れており、彼にとっては、犬の場合のような成功報酬訓練ではなく、自由に共に行動する仲間意識の共有が大事なのだ。日本人は、犬を通してしか、生きたオオカミについて想像することができないが、この著者の体験は、人に犬や他の動物への接し方を哲学的に教えている。彼のオオカミが日課のジョギングで見せる走り方は、犬のように飛び跳ねて走るのではなく、地上を浮いて滑るようだと書いている。この表現からも、オオカミの動態性能の良さを知ることができる。また、彼の拳より大きな前足は、犬には開けられないドアノブを回して開けるという器用さを持ち、瞬時に走行方向を変えることもできるのだ。また、ジョギング中に車にはねられ怪我をしたが打撲程度で車の方が大きく壊れるほどだった。しかし、その後のジョギングでは車を恐れることもなかったという。しかし、ある時、牧場の電柵に触れた時には非常に驚いてその後二度とその現場に近づこうとしなかった。車との衝突は意に介さないのに、電気ショックに恐怖を覚えるというのは興味深い。見えない電気は車と違って、正体が分からないからであろうか。

彼はこのオオカミを連れ歩くことによって非常に女性に持てた。素晴らしい “ 犬 ” に多くの女性が魅了されたようだ。ペットとして多くの人が犬を飼っているが、この著者も犬を飼っている。

動物への関わり方を知りたい人、飼いたい人には彼の研究と経験の成果はとても参考になるはずだ。しかし、彼のようにオオカミを飼うのは非常に困難であろう。と言うのも、賢いオオカミを飼うには、飼い主も賢さを要求されるからであり、手抜きをすることなく、一貫してオオカミへ対等に接するのは簡単ではないからだ。

「赤ずきんちゃん症候群」に罹って、オオカミは恐いもの危険なものと決め込んでいる人のいかに多いことか。オオカミ再導入に向けての活動でも、その大きな壁に突き当たる。環境省を始め地方自治体も同様である。これらはひとえに人々が野生動物に対する知識や認識、経験の欠如からくるのではなかろうか。クマやイノシシは時々人を襲うが、そこには人間が誤った対応をした結果が見えてくる。山や林へ我が物顔で不用意に侵入すると、彼らの住処を突如襲う不法侵入者として攻撃の対象になるのである。しかし、このオオカミは人混みに連れていっても人間に危害を与えないし、大体、人間に関心を示さないのである。

さて、かつて山や林に農作物の守り神と崇められていたオオカミの姿はなく、代わって、延々と張られた電気柵に置き換わっている。しかし、やがてオオカミ導入に向けてひとつの皮肉な役割を電気柵が果たすのではなかろうか。この書にあるようにオオカミが得体の知れない電気柵に恐怖を覚え近づかないのなら、オオカミを恐れる環境省や人々にとって好都合な電気柵になるのではなかろうか。

山野井 英俊

【6 月8日】
カムバックウルフ山梨(日本オオカミ協会山梨支部)集会南巨摩郡富士川町 ハーモニー 午後2時より山梨県での会員と賛同者の会合を催しました。参加者は会員3名(小野、山野井、伊藤)と賛同者4名でしたが今後の活動としての打ち合わせをしました。この会場はくにみ園の青木さんの御好意によってお借りしましたが、青木さんには当初よりご協力いただいているのです。始めにこれまでの経過活動報告をして今後、ミニミュージアムの開催を子どもの夏休みに合わせてキャンプ場でできないかと計画しました。また新たな会員募集をはかり今後の支部運営の活性化をはかり、その後に県知事宛の署名の提出という流れです。

【7月5日】
東京で日本オオカミ協会の総会がありました。終了後の懇親会には出版関係者、NHK、毎日新聞などマスコミ関係者、大手書店関係者が出席し、丸山会長の出版本「オオカミが日本を救う」をはじめとして今年はオオカミ本が7冊ほど出揃うとの報告。そして大手書店関係ではオオカミ本を集約した展示が読者から大好評であると報告されました。

<オオカミ本コーナーが登場>
2014.4.27 産経ニュース記事
東京・神田神保町の書泉グランデで、オオカミに関する本を集めたコーナーが登場し、注目されている。

今年に入り「オオカミが日本を救う!生態系での役割と復活の必要性」(白水社)や「オオカミの謎 オオカミ復活で生態系は変わる!?」(誠文堂新光社)など、オオカミ復活の可能性を探る本が相次いで刊行されたことから、同店が3月1日から小説や写真集、マンガも含めてオオカミに関する本を30点集めた特設コーナーを設置。合わせて、狩猟者を対象とした月刊誌「けもの道」や、ジビエ(野生動物の肉)関連本も販売している。反響は大きく、オオカミの写真集などが女性にも人気だという。

オオカミ本を集めた特設コーナーが注目されている=東京・神田神保町の書泉グランデ

特設コーナー設置にあたっては、国内に海外から導入したオオカミを放つことによってシカやイノシシの食害を防ぎ、日本本来の生態系を回復することを目指す「オオカミ協会」が協力し、協会提供の写真などが展示されている。特設コーナーを担当した同店の星野潔さんは「生態系について考えるきっかけにしてもらいたい」オオカミ復活論への反論本はは今のところ見当たらないが、出版されれば並べていきたい」と話している。

【9月4日】
朝日新聞にニホンオオカミが固有種でないと報じられました。これは岐阜大学による DNA 解析による結果です。オオカミ導入活動に必ず立ちはだかる質問が外国から連れて来るオオカミは外来種にあたるのではないか?との意見です。日本オオカミ協会の見解はすでに外来種にはあたらないとの研究結果を発表して来ましたが、このたびその事実が明らかになった訳です。これでオオカミ導入への障害がひとつ取り除かれたことになります。

ニホンオオカミ固有種にあらず

【10月5日】
オオカミ導入を働きかけるステッカーの作成を検討しました。これはくにみ園の青木さんからオオカミは人間を守ってきた動物であり神社などで守り神として奉られていたのでオオカミのお守りのようなものがあってもいいのではないか、との話から始まりました。
お守りは神社に任せるとして、私たちにできるのはこれまでの悪いイメージを払拭するために、危険な動物どころか農作物をシカやイノシシの被害から守る良い動物であったことを知ってもらう必要があるのです。
そして「森の王者オオカミで人と自然を守ろう」ステッカーを作りました。

森の王者オオカミで人と自然を守ろう

この度、この活動が12月3日の山梨日日新聞に掲載されました。

オオカミで食害防げ

日本では畑や人の守り神として奉られていたオオカミ。
しかし明治時代にオオカミが絶滅させられてからほぼ100年が経ちました。天敵を失った生態系は狂いが生じてサル、シカ、イノシシが増殖、農業被害は200億円、森林被害は計算されないほど、さらに人にまで傷害を及ぼしています。

天敵である頂点捕食者、森の王者オオカミを導入して太古よりの豊かな元の自然を取り戻さなくてはなりません。オオカミは人を襲わないのに赤ずきんちゃんの童話の影響を受けて怖いと誤解されています。しかし、なぜか女性に人気のあるオオカミですからプレゼントに、そして知人友人にもお勧めいただき、車に貼るなどして宣伝ご協力ください。

子どもでもわかる一目瞭然の自然保護運動です。オオカミは犬の祖先ですがとても賢く、気高く、畏敬の念を覚えます。日本の山野を支配し森の王者として君臨していた尊い獣です。欧米では一時日本と同じように駆除した経緯がありますが、その過ちを改めていまや保護運動に変わっています。しかし日本では未だに環境省は導入しようとしません。私たちは現在と将来にわたってこの国土の自然を守る義務があります。子々孫々に豊かな自然を守り残すことは人間としての基本的な姿勢であるはずです。

どうか皆様のご協力を切にお願いします。一枚500円ですが複数枚のご協力をお願いします。送料は120円ですが2枚以上はサービスします。

ヤフオクにも出品していますのでそちらでもお求めいただけます。オオカミステッカーで検索されるか以下のURLをです。
http://page4.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d159600752

カムバックウルフ山梨
〒400-0514 山梨県南巨摩郡富士川町平林2294-4
TEL/FAX 0556-22-8656
富士川町オオカミ導入研究会 ◆ 南アルプス市議会有害鳥獣対策研究会

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