シカはついに石鎚へ!それでも進歩しないシンポ

先日、愛媛県西条市で石鎚山系で広がり始めたシカ被害と対策についてのシンポジュームが開かれました。

そこで紹介された高知県の名峰三嶺のフスベヨリ谷は山腹の大崩壊で埋まってしまい、かつての幽谷の美は今や見る影もありません。崩壊した山腹の名前はシカザレと命名されました。シカによる食害で荒れた山腹が大崩壊を起したからです。

このように山奥で起こったことは社会的問題になりませんが、今後シカの増大がゲリラ豪雨の頻発とも相まってこれからますます人社会への自然災害を増幅していくものと思います。オオカミの居ない山々が今、シカの激増というキバをむき始めたと言える状況です。

さて、石鎚山系でも広がり始めたというシカ被害を抑えていくにはどうしたら良いのでしょう。殺しても殺しても増え続けるシカの脅威を嘆きつつ、希少植物をネットで囲えば良いのでしょうか。

生態系とは、花壇を作るように、植物園を作るように人が都合良く作れるものではありません。それは動植物ともに食いつ食われつして保たれてきた自然の営みです。

人はその営みの頂点動物だったオオカミを明治以降懸賞金を付けて絶滅させてしまいました。そして今度は天敵のいなくなった山々で増え続けるシカにも懸賞金を付けて殺処分に追われています。ちなみに高知県では毎年2万頭を殺処分しています。県によるとシカの生息密度を下げていく為には年間3万頭の殺処分が必要とのことですが猟師さんの減少と高齢化でこのところ2万頭を切っている状況です。

今私たち人間に出来ることは今一度頂点動物であるオオカミを再導入し、生態系の復元の中でシカも抑制されていく効果を見守ることではないでしょうか。

松林 直行:日本オオカミ協会四国支部長

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