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第8回全国オオカミアンケート調査(2016年)速報

2017 年 3 月 8 日 水曜日

オオカミ復活賛成45.6%!反対11.3%を大きく上回る

2016アンケート結果

当協会による2016年1月1日から12月31日の間に実施された第8回全国オオカミアンケート調査は全国から11,395件の回答を集めた。会員は、公園、街路、駐車場、各種イベント会場などで直接回答を求めるとともに、友人、知人にも依頼した(家族、親族への回答は求めず)。この調査は乏しい資金環境下での実施であるため、大手メディアが実施しているような抽出手法を使えなかったので、とにかく全国各地のいろいろな環境下で実施し、回答者数を増やすことにより回答の偏りを解消するという方法を採った。しかし、11,000以上の回答者数は、十分民意を反映する結果が得られたものと考えられる。

民意はオオカミ賛成へ:
政府与党、行政は民意実現に向けてオオカミ復活に舵を切れ!

2006年以降増加に転じたオオカミ復活賛成者数は、前回4年前の第7回と比べてさらに5.2ポイント増加し、45.6%となった。これに対して、第1回目(1993年)には44.8%と第一を占めていた反対者数は、ずっと減り続けてきたが、今回も同様で、前回よりも2.6ポイント減って僅かに11.3%と下がって、賛成の4分の一に過ぎなくなった。わからないとの保留回答者数も2.6ポイント減って、43.1%となった。保留回答は初回から第4回(2002年)54.0%に向かって増加し、第6回(2009年)まで50%以上だったが、その後減少に転じ、今回も同様に減少していた。

こうしたオオカミ復活に関する民意の変化は、政府与党の獣害対策への疑い、不満、批判の反映であろう。鳥獣害対策特別措置法(4年期限)が動き始めて3期目になるが、依然としてその効果は判然としないどころか、シカやイノシシの個体数も分布域も増加し続けている。そのため、とりわけ森林生態系被害は拡大の一途にあり、被害対策費は年数百億円台から1千億円台へと膨れ上がる一方である。頭数管理、ジビエ振興と莫大な税金を使い続けているが、ますます問題の解決は見通しがつかなくなっている。これは事実を見ようとしない政府与党の政策担当者の責任であり、これを見逃している与野党議員の無知が原因である。

このアンケートからいえることは、獣害対策に関して政府与党は国民から愛想をつかされつつあるということである。オオカミ反対意見は90年代には主流だったかもしれないが、現在は少数派になり下がった。オオカミをいつまでも誤解し、偏見を持ち続けた結果である。政府与党も同様である。真実を見ようとしないで民意から目を背け続ける政治家や専門家は民主主義社会の担い手とはいえない。保留派の多くはオオカミを恐ろしい蛮獣であると誤解し続けているようである。この誤解が解けるのは時間の問題である。国際社会はオオカミ虐待の時代を抜けて、復活保護が潮流となった。保留派は追っ付けオオカミ復活に賛同し、オオカミ復活はますます多数の民意の強い賛同を得ることになる。政治はいつまでもこれを無視し続けることは許されない。オオカミの復活は自然生態系の保全だけでなく、民主主義の普及に貢献します。

JWAオオカミアンケート調査グループ

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クマの好物キイチゴ類の回復を早めるイエローストーンのオオカミ

2013 年 9 月 1 日 日曜日

3glizBBCニュースのレポーター、サイモン・レドファーンは、「イエローストーン国立公園へのオオカミの復活はグリズリーベアの食べ物の改善につながっている可能性がある」と指摘する「動物学会誌」の論文を紹介している。

○二十世紀初め、オオカミがイエローストーンから根絶させられて以来、急増したエルクジカ個体群によってクマが依存するキイチゴ類の潅木群落は荒らされ放題だった。オレゴンとワシントンからの研究者のチームは、捕食者オオカミの再導入とエルクジカによる過剰採食の低下を結び付けている。グリズリーベアの穴ごもり前の好物である食べ物であるキイチゴ類の晩夏の実のつき方が、その結果増えているのである。この研究では、その証拠として、1990年代のオオカミ復活に続いてのエルクジカの減少につれて、クマの糞から検出されるキイチゴのタネが倍増していることが報じられている。

○イエローストーンの生態系の複雑な相互関係は、オオカミ再導入前後の比較計測によって示されてきた。合衆国地理研究所(USGS)の野生動物学研究者のデイビド・マトスンは、イエローストーンについて以前つぎのようなコメントをしている。「それは複雑なシステムなのであり、グリズリーベアは、ある意味でこの生態系に含まれるあらゆる生物の頂点を極めるコネクターなのだ。」

kiitigo16.6-4○エルクジカの個体群が減少するにつれてキイチゴ類の潅木群落は増加し続け、潅木群落が過剰採食から回復するにつれて、クマたちの果実の消費は増加し続けている。

○この論文の第一著者であるウイリアム・リップルがコメントしている。「野生の果実はグリズリーベアの食べ物の中でとりわけ大切なものである。彼らができるだけ早く穴ごもりの前に体重を増やそうとしている晩夏には特にそうなのである。」

○「エルクジカの採食がキイチゴの生産を減らすことはヨーロッパでも良く知られている」と、オスロ大学の生態学者アトレ・マイストルドは言う。この研究は、キイチゴ類の新たな群落がオオカミが再導入後に形成されたことを示している。キイチゴの生産がグリズリーにとってきわめて大切であることは明らかである。

○しかし、エルクの減少はまったく良い知らせかというとそうでないかもしれない。イエローストーン北部のエルク個体群は1988年には19,000頭が捕獲されていた。しかし、前年冬の推定頭数はたった3,900頭に過ぎない。

            (BBC NEWS SCIENCE & ENVIRONMENT 29 July 2013)

訳注:グリズリー(ブラウンベアUrsus arctosの北米に生息する亜種、北海道のヒグマも亜種)体重♂135-315kg、♀90-180kg、イエローストーン国立公園には、グリズリーよりも一回り小さいアメリカクロクマ(体重♂95-150kg、♀60-90kg)も生息。両種は同じ場所で観察されることもある。オオカミが捕獲したエルクジカなどの獲物を食べる。本州以南には、さらに小型のツキノワグマが生息。ヒグマやツキノワグマは雑食性なので頂点捕食者ではない。オオカミによってツキノワグマは減少すると心配する人がいるが、これは間違い。オオカミの復活によって、現在多すぎるシカが適正な密度にまで減少すると、ツキノワグマやヒグマの餌である木の実や蜂の巣などが増えるので、オオカミ復活はクマ類のためにもなる。

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オオカミ、エルクジカとバイソンの関係:アメリカ イエローストーン国立公園で観察された「不安な生態系」

2012 年 9 月 19 日 水曜日

http://www.esf.edu/efb/faculty/documents/laundreetal2001elkandbison.pdf
Laundre,J.W., L.Hernandez, & K.B.Altendorf (2001) Can.J.Zool. 79:1401-1409.

イエローストーン国立公園のエルクジカやワピチ(Cervus elaphus)とバイソン(Bison bison)は、今まで50年間ものあいだオオカミ(Canis lupus)のいない環境で生きてきた。
1994-1995年の冬に、オオカミはイエローストーン国立公園の地域に再導入された。
捕食理論からすると、エルクジカとバイソンが、このオオカミ導入の脅威に対して彼らの警戒レベルを上げるだろうと予測された。我々はこの予測を検証するために、公園のまだ“オオカミ非生息地”とオオカミ生息地でエルクジカとバイソンの警戒レベルを比較した。

雄のエルクジカとバイソンはオオカミの再導入に反応しないように見えたが、研究により、低レベルでの警戒は維持されていることが判明した(約12%~7%の時間は警戒に費やされた)。雌のエルクジカとバイソンは、オオカミ生息地では、非生息地と比較して、かなり高い警戒レベルを示した。最高警戒レベル(47.5%±4.1%SE)が維持される傾向は、オオカミ存在地区で、2年目のメスエルクが子ジカと一緒にいる時には、調査の間3年連続で観察された。

オオカミの分布がオオカミ非生息地にも拡大したので、これらの地区のメスエルク、および子ジカと一緒のメスエルクの警戒レベルは、それまでの20.1±3.5%SEと11.5±0.9%SEから43.0±5.9%SEと30.5±2.8%SE と上昇したことが、5年目までの詳細な研究から判明した。

我々は、こうした社会的グループの違いの間で観察される理由を考察している。
オオカミ生息へのこのような行動学的反応は、エルクジカとバイソンの生態を考える上で、オオカミによる直接的な捕食より大きな影響があるのではないかと考えている。

(抄訳:佐々木まり子 2012,9 19)

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