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クマの好物キイチゴ類の回復を早めるイエローストーンのオオカミ

2013 年 9 月 1 日 日曜日

3glizBBCニュースのレポーター、サイモン・レドファーンは、「イエローストーン国立公園へのオオカミの復活はグリズリーベアの食べ物の改善につながっている可能性がある」と指摘する「動物学会誌」の論文を紹介している。

○二十世紀初め、オオカミがイエローストーンから根絶させられて以来、急増したエルクジカ個体群によってクマが依存するキイチゴ類の潅木群落は荒らされ放題だった。オレゴンとワシントンからの研究者のチームは、捕食者オオカミの再導入とエルクジカによる過剰採食の低下を結び付けている。グリズリーベアの穴ごもり前の好物である食べ物であるキイチゴ類の晩夏の実のつき方が、その結果増えているのである。この研究では、その証拠として、1990年代のオオカミ復活に続いてのエルクジカの減少につれて、クマの糞から検出されるキイチゴのタネが倍増していることが報じられている。

○イエローストーンの生態系の複雑な相互関係は、オオカミ再導入前後の比較計測によって示されてきた。合衆国地理研究所(USGS)の野生動物学研究者のデイビド・マトスンは、イエローストーンについて以前つぎのようなコメントをしている。「それは複雑なシステムなのであり、グリズリーベアは、ある意味でこの生態系に含まれるあらゆる生物の頂点を極めるコネクターなのだ。」

kiitigo16.6-4○エルクジカの個体群が減少するにつれてキイチゴ類の潅木群落は増加し続け、潅木群落が過剰採食から回復するにつれて、クマたちの果実の消費は増加し続けている。

○この論文の第一著者であるウイリアム・リップルがコメントしている。「野生の果実はグリズリーベアの食べ物の中でとりわけ大切なものである。彼らができるだけ早く穴ごもりの前に体重を増やそうとしている晩夏には特にそうなのである。」

○「エルクジカの採食がキイチゴの生産を減らすことはヨーロッパでも良く知られている」と、オスロ大学の生態学者アトレ・マイストルドは言う。この研究は、キイチゴ類の新たな群落がオオカミが再導入後に形成されたことを示している。キイチゴの生産がグリズリーにとってきわめて大切であることは明らかである。

○しかし、エルクの減少はまったく良い知らせかというとそうでないかもしれない。イエローストーン北部のエルク個体群は1988年には19,000頭が捕獲されていた。しかし、前年冬の推定頭数はたった3,900頭に過ぎない。


            (BBC NEWS SCIENCE & ENVIRONMENT 29 July 2013)

訳注:グリズリー(ブラウンベアUrsus arctosの北米に生息する亜種、北海道のヒグマも亜種)体重♂135-315kg、♀90-180kg、イエローストーン国立公園には、グリズリーよりも一回り小さいアメリカクロクマ(体重♂95-150kg、♀60-90kg)も生息。両種は同じ場所で観察されることもある。オオカミが捕獲したエルクジカなどの獲物を食べる。本州以南には、さらに小型のツキノワグマが生息。ヒグマやツキノワグマは雑食性なので頂点捕食者ではない。オオカミによってツキノワグマは減少すると心配する人がいるが、これは間違い。オオカミの復活によって、現在多すぎるシカが適正な密度にまで減少すると、ツキノワグマやヒグマの餌である木の実や蜂の巣などが増えるので、オオカミ復活はクマ類のためにもなる。

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オオカミ、エルクジカとバイソンの関係:アメリカ イエローストーン国立公園で観察された「不安な生態系」

2012 年 9 月 19 日 水曜日

http://www.esf.edu/efb/faculty/documents/laundreetal2001elkandbison.pdf
Laundre,J.W., L.Hernandez, & K.B.Altendorf (2001) Can.J.Zool. 79:1401-1409.

イエローストーン国立公園のエルクジカやワピチ(Cervus elaphus)とバイソン(Bison bison)は、今まで50年間ものあいだオオカミ(Canis lupus)のいない環境で生きてきた。
1994-1995年の冬に、オオカミはイエローストーン国立公園の地域に再導入された。
捕食理論からすると、エルクジカとバイソンが、このオオカミ導入の脅威に対して彼らの警戒レベルを上げるだろうと予測された。我々はこの予測を検証するために、公園のまだ“オオカミ非生息地”とオオカミ生息地でエルクジカとバイソンの警戒レベルを比較した。

雄のエルクジカとバイソンはオオカミの再導入に反応しないように見えたが、研究により、低レベルでの警戒は維持されていることが判明した(約12%~7%の時間は警戒に費やされた)。雌のエルクジカとバイソンは、オオカミ生息地では、非生息地と比較して、かなり高い警戒レベルを示した。最高警戒レベル(47.5%±4.1%SE)が維持される傾向は、オオカミ存在地区で、2年目のメスエルクが子ジカと一緒にいる時には、調査の間3年連続で観察された。

オオカミの分布がオオカミ非生息地にも拡大したので、これらの地区のメスエルク、および子ジカと一緒のメスエルクの警戒レベルは、それまでの20.1±3.5%SEと11.5±0.9%SEから43.0±5.9%SEと30.5±2.8%SE と上昇したことが、5年目までの詳細な研究から判明した。

我々は、こうした社会的グループの違いの間で観察される理由を考察している。
オオカミ生息へのこのような行動学的反応は、エルクジカとバイソンの生態を考える上で、オオカミによる直接的な捕食より大きな影響があるのではないかと考えている。

(抄訳:佐々木まり子 2012,9 19)

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ポルトガルのオオカミ保護団体「ロボ」が援助を求めています!

2012 年 8 月 16 日 木曜日

ポルトガルのオオカミ保護団体「ロボ」から、日本オオカミ協会にメールをいただきました。ポルトガルでのオオカの状況、その内容をここにご紹介いたします。

 

《はじめに=ポルトガルのオオカミの背景》

ポルトガルにはオオカミが約300頭生息しているそうです。しかし、シカ類はポルトガル人に「捕食」されて殆ど絶滅状態なので、オオカミはかわりに羊を捕食して生き延びてきました。EUの加盟国は、だからといってオオカミの駆除を認めていないどころか、オオカミを保護するために、被害者に補償金を支払うことを決めています。これは政府にとっては馬鹿になら ない財政支出です。そこでポルトガルでは、他国からオオカミの野生餌であるアカシカやノロジカなどの再導入も視野に入れているそうです。

グレー:EUベルン条約で承認オオカミ生息国
黒:2005年のオオカミ生息域



《オオカミ保護団体ロボからのメール》

私たちは、JWAのHPでポルトガルでのオオカミ保護キャンペーンを紹介し、我々の現状を広めていただけることに感謝いたします。

ヨーロッパのほとんどの地域と、スペインイベリア半島の一部のオオカミが復活し、その個体数を増やしていることに反して、ポルトガルのオオカミの個体数は増加しておりません。

最後の個体数調査(1996-97年と2002-03年)によると、約300頭のままであり、若干の群れがわずかな地域で安定しているものの、むしろ個体数の不安定性と、増加することへの高い困難をみせております。

リカバリーセンター(IWRC)は、イベリア半島のオオカミのために、1987年に我々グループロボが作ったプロジェクトの一環です。このプロジェクトでは、荒野で自由に生きることができないオオカミのために、我々の保護下で安全な環境を提供する目的で創立されました。

センターの土地は17ヘクタールで、樹木が茂る閑静な谷です。様々な植物に覆われ、バラエティ豊かな景観を持ち、オオカミを保護する上で良い環境を備えております

我々のプロジェクトは、オオカミのリハビリ施設として、福祉的側面からもしっかり機能しています。ここのオオカミたちは、残る生涯をこのセンターIWRCで過ごします。

オオカミの野生の生息環境をできる限り再現し、自然の中で生きられるようにしています。

各ポイントに設けられた観察塔からは、オオカミの独自の生態が広い視野で観察できるようになっています。

センターでは、オオカミのために可能な限り最高の環境を提供するだけでなく、グループロボが野生のもとで行った調査と関連する、オオカミの社会生態に関する科学的研究も行なっております。これらの研究は広報的キャンペーンの一環で、市民にオオカミの本当の性質を知ってもらうためのものです。

このプロジェクトでは、教育的観点から、学校の児童、個別の団体や一般市民のためにオオカミを観察して学ぶツアーも用意しています。

こうした教育活動は、オオカミ迫害の原因となっている古い神話や観念を払拭し、正しい知識を広め、オオカミを保護していくためには大変重要なものです。今日、センターの存続は危機にさらされています。センターの土地の購入以外、他に道がありません。

この保護基金援助キャンペーンが我々の目標に達しない場合、ゼロから他の方法を探さなければなりません。私たちのキャンペーンのリンクです。

http://www.indiegogo.com/IberianWolf

どんなかたちの援助でも歓迎いたします。我々は皆様のご理解とご支持に大変感謝いたします。

よろしくお願いいたします。

グループロボ

イザベル・アンブロシオ

(2012, 8.16 抄訳: 佐々木まり子)

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鹿の食害を考える ドイツに見るオオカミとの共生

当協会が紹介されています
(動物や自然を守ろう にて)

トカゲ太郎のワンダー・ワールド

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