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日蒙オオカミセミナーの報告

2019 年 8 月 15 日 木曜日

第2回日蒙オオカミセミナー開催の報告神奈川県支部セミナー

「モンゴル・フスタイと中国・ウズムチンオオカミ谷」

 去る2019年7月23日(火)13:30~16:00 神奈川県民センター3階会議室(30名収容)で開催したセミナーの様子を報告します。参加者は14名。平日の午後というハンデがあってのことでしょうか、せっかくのセミナーなのに集まりが悪かったのが残念でした。宣伝は、JWAのHPとFacebook、それに産経新聞三多摩版にも出しましたが、やはり平日の午後というのが問題だったようです。会場確保などを考えると(最近は混んでいて難しい)、早くからの計画的な準備が必要です。また、この会場には、知的障害者と思われる女性が参加し、勝手に発言したり、私語したりで対応に苦慮いたしました。社会福祉が進み、こうした人たちへの社会参加が広まることは良いことですが、反面、今回のセミナーのような「会場ジャック」といった場合には、どうすべきなのでしょうか、対応に戸惑ってしまいます。対応によっては差別と非難されるかもしれません。

【講演2題】

  • 「モンゴル・フスタイ国立公園のオオカミを訪ねて」高木英寿(JWA神奈川県支部長)
  • 「内モンゴルでのオオカミ園のオオカミ」手塚修文(JWA東海支部役員)。

[フスタイ国立公園]

 フスタイへの旅は、本会理事・紀州吉野支部副支部長である大槻国彦氏の立案、それに今春、京橋でご講演いただいたフスタイ国立公園管理官のガンボルド氏にお世話していただいて実現したものです。両氏に、厚く御礼申し上げます。この国立公園は、モンゴル国の首都ウランバートル市から西へ車で3時間、360度草原の真っただ中にある丘を中心にした面積5万haの小さな自然保護区で、わが国の国立公園並みの規模でした。米国の広大なイエローストーン国立公園約90万haとは比すべくもありません。この公園は、1989年のソ連崩壊直後、野生絶滅していたモンゴルノウマ(タヒ)がオランダから贈呈され、放された場所2か所のうちの一つなのです。この再導入事業は、成功し、現在約300頭までに増えています。この国立公園には、もともと数群のオオカミが生息し、アカシカ、ノロジカ、イノシシとともにこの野生馬も捕食しています。しかし、公園管理当局は、タヒとオオカミは、この大草原で進化を共にしてきた関係であることを理解して、オオカミも保護し続けています。管理事務所、宿泊施設ゲル20張りなどは1か所に集められ、緩やかな丘陵地の谷底に目立たないように置かれています。この20年の間、訪問者数はあまり増えもしていないようで、施設の拡充もないようでした。公園内には遊覧用の自動車道路も歩道も整備されていません。したがって、人もほとんど見かけず、自動車を避けることもない、私たちが忘れていた、自然そのままのすばらしさがここにはあります。小型の草食性のターバガンが草原の各所に巣穴を構えて、愛嬌を振りまいています。これもオオカミの捕食対象です。公園管理官のガンボルドさんの案内で、斜面のシラカバの疎林の中で子育て中のオオカミを簡単に観察することが出来ました。長閑な公園にも悩みがいくつもあるようです。その一つは、最近の温暖化で降水量が減り、シラカバ林が枯損退行し続けていること、第二は、周辺部の遊牧民が、羊などの家畜の群れを連れ、公園内の良い草を求めて違法侵入することが絶えないこと、第三は、オオカミの密猟が後を絶たず、密猟者は、職業階級に関係なく罪悪の意識が希薄であることだそうです。この公園は、ユネスコの生物圏保存地域構想(1971)に従っているようで、公園全体はコアエリア(中核的自然保護地域)で開発が認められないが、周辺はバッファー(緩衝地域)で緩い自然利用は認められるといった地域区分になっているようです。そして、この国立公園は、国ではなく、国が指定する管理団体によって財政を含めて運営されているという点です。同国立公園は、日本、特に日本オオカミ協会との協力関係を求めていることをお知らせいたします。経済貧困国の苦しみと工夫が見て取れるのがこの国立公園です。

[ウズムチンオオカミ谷] 

 内モンゴル自治区にあるオオカミ飼育施設についてのレポート。瀋陽市から北西へ車を飛ばして数時間の通遼市へ。そしてさらに数時間でウズムチンオオカミ谷に到着します。この荒れた草原の中の施設の面積は正確には不明ですが1000ヘクタールくらいはあるのでしょうか。ここには40~50頭のオオカミが収容されているようです。数年前は数頭だったと言いますが、どこから、どのようにしてこれだけのオオカミを集めてきたのか不思議です。この施設では、観察用のミニバス(定員20~30人)に観光客を乗せて園内を30分ほど案内します。観光客を喜ばせる目的で、別の係員が生きた鶏を投げ与えます。これを目当てに20頭前後のオオカミが追いかけてくる。自由と尊厳を奪われて、奴隷のようなオオカミたち。御客はこれを見て喜ぶ。こうしたミニバス数台が約30分の時間をかけてオオカミを見せて回る。これに飽き足らず、この施設では、ヘリコプターを購入しようとしています。このお金はどこから調達されるのでしょうか。観光収入で賄える金額ではありません。投資額を回収することもできないでしょう。公的資金が投入されているとしか考えられません。

 この話を聞いてすぐにイメージするのは「オオカミのアウシュビツ」。この施設を考え、運営している中国の関係者を非難いたします。金儲けのための商業主義。自然や野生生物に対する敬意など微塵もありません。自然を足下に置き、人間のエゴのままに利用することに疑いを持たない自然観が露骨に表れているようです。この施設は、オオカミ初め野生動物と自然を辱め、人々の心を傷つける装置以外のなにものでもありません。

 このセミナーの結論:私たちが求めるものは、人の心を破壊する荒んだオオカミ谷ではなく、私たちに心のふるさとを思い出させてくれる、ちっぽけなフスタイ国立公園です。(完)

(記・高木英寿、JWA理事・神奈川県支部長)

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【企画展】自然の中でのオオカミ の役割を知ろう

2019 年 7 月 14 日 日曜日

オオカミの生態を知って、

生物多様性豊かな自然を守り、

森里川海をつなぐ、

オオカミがいる自然を想像してみよう

【主な展示内容】

  • シカが破壊する日本の自然
  • オオカミの生態 
  • オオカミと人との共生
  • オオカミは家畜を救う
  • シカに追われる生きものたち
  • 『山の神草紙』(オオカミとカワウソとオコゼ、室町時代の絵巻)

  • 日 時 8月9日(金)~18日(日) 9時~16時半 14日 休館日
  • 会 場 東金こども科学館 東金文化会館2F 駐車無料
  • 対 象 子供から大人まで 入場無料
  • 主 催 (一社)日本オオカミ協会千葉県支部
  • 共 催 東金こども科学館 東金市八坂台1-2107-3
  • お問い合わせ 080-5024-9132 井上
  • 8月14日は東金こども科学館の休館日です。お間違えなく!

オオカミは人を襲う危険な動物ではありません。

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オオカミ再導入講演

2019 年 7 月 3 日 水曜日

主催:入間市立図書館金子分館 2019.6.22


オオカミ再導入埼玉講演


昨年の秋、埼玉県比企郡小川町の町立図書館でオオカミフォーラムを実施した。その時に会場に来られた入間市立図書館金子分館の深野和彦分館長より、直後に講演の依頼を受けた。

 

この地区には大場烈夫さんという古いオオカミ協会会員がおいでになる。この支部会員のお勧めがあり、講演会の開催に大きな力となっていただいた。

 

私も経験があるが、この分館は指定管理者制度により運営されており、深野館長は有効な事業を行い高い評価をうることが大切である。小川町オオカミフォーラムで行ったように、埼玉県生態系保護協会の堂本事務局長にも講演に参加して頂き、オオカミ協会埼玉県支部長の私と二人で講師を務めて欲しい、ということになった。

 

オオカミ再導入は「生物多様性保護」の観点から、国際的にも実行に移して行かねばならないテーマとなっている。野生動物頂点捕食者不在の日本では、シカ、サル、イノシシの増加などは、人間の手では抑えきれないことが明白になりつつある。深野図書館長の認識とオオカミ協会埼玉県支部の立場とは馴染みが良かった。

 

又深野さん自身がフットワークよく各種オオカミ関係の展示会などに足を運び、理解を深めて頂いたことも有益であった。私の会社にも新年度の4月になって早々にお訪ね頂いた。オオカミ協会の立場をお話したところ、頂点捕食者オオカミを欠く日本の山林が、どのような現状になっているか等多くの課題もすぐ理解され、十分に事前の擦り合わせが出来た。

 

はじめは「20人くらいしか集められないと思うが、それでもよいか」とのことであった。私の立場は「一人でも多くの人に日本の山林の現状を知っていただくための広報活動が責務なので、何人でも良いですよ」とお答えした。但し当支部からも参加者が増えるような働きはして行きます、とのお約束もした。幸い読売新聞川越支局の丹下記者と知り合いなので、講演会の予告記事を書いて貰えるか打診したところ、すぐ取材して頂き、かなり背景も含め丁寧な記事を掲載して貰った。この時点で定員40名のところ参加申し込み者は32名となったとのメールを受けた。


オオカミ金子分館展示物


金子分館は武蔵七党の金子十郎家定が統治していた地域にある。川越の仙波氏と同じ村山党に属する武将で、川越とは縁も深い。あたりは狭山茶の店が軒を連ね、分館から茶畑が一望できる茶所である。

 

当日支部役員と1時間前に金子分館に行ったところ、深野さんの見通しは、雨でもあり3名くらい減るとおもいます、とのことであった。

 

館内の掲示板に、裏山の加治丘陵から、茶畑の中に現れたシカの写真が張り出されていた。初めてのことで近隣住民としては、実害があったわけではないが心配であろう。展示物は井上千葉支部長から24枚のオオカミ関係の展示用写真を頂き、すべて上手に展示していただいていた。その上、丸山会長の出版物をはじめ、赤ずきんちゃんの絵本も含め、相当数のオオカミ関係出版物が集められ展示されている。さすがに図書館だな、と感心した。私達にはとてもできないことであった。

 

講演は2時の開始である。深野分館長が開会の挨拶をされたが、定員を超えて44名の参加者となり、資料が行き渡らないので、後日送付する旨お詫びをするところからスタートした。

 

「日本山林の現況 ―川の清流を取り戻すには― 「害獣から森を守る!日本オオカミの復活」と題してパワーポイントの解説をして行った。

環境省HPによる三角図を最初に示して、土中の微生物が生活する黒土から、植物、各種動物、頂点捕食者のキツネまで、環境省がいう、「自然界を形づくる生態系の仕組み」についてお話した。

 

続いて付近を流れる入間川源流の土壌崩壊の様子、埼玉県秩父地方の山林林床の荒廃、荒川上流水源林の表土流失による二瀬ダムの堆砂進行などの解説を50分間行った。

 

環境省作成の「増える日本ジカ 迫り来る脅威 二ホンジカの増加と食害 あなたは知っていますか」などのポスター画像には、食い入るように見つめる人が多かった。最後にオオカミ再導入へ、杉並高校の高校生による提案を説明したところで、パワーポイントによる解説を終えた。

 

補足として、ファンの多い日本オオカミについては、世界のオオカミとDNAは同一であること、ただ小型であることをお話しして講演を終了した。

 

その後10分の休憩をとり、埼玉県生態系保護協会堂本事務局長が50分講演した。堂本さんは、生物多様性保護、生態系保護の視点から、オオカミ導入の議論を避けてはならない、大いに議論を盛り上げるべきである、との立場でお話をされた。その点会場の参加者も納得がいった様子であった。野生動物、鳥、虫、植物などの食物連鎖等話題は広範囲にわたり、皆さんも熱心に聴講した。

 

講演終了後の質疑応答は数人の方から頂いた。何時も必ずでる「オオカミと山で出会ったときは、どうするのか」との質問はなかった。会場に来られた人は、増大するシカの恐怖、を知り抜いているようで、昨年とはかなり違った様相になっていることを強く感じた。

 

翌日金子分館長から、図書館が行ったこの事業へのアンケート結果が送信されてきた。

それによると、この催しを知ったのは、金子図書館カウンターによる11人、分館だより6人、広報入間4人、知人から4人、ポスターチラシ2人、読売新聞3人、オオカミ協会HP3人、オレンジカフェその他6人となっている。44名中39人が回答している。回答率89%に上る。

 

講演会の内容が良かったとする人は81%、反対の1人は日本オオカミの解説ではなかった、というものであった。日本オオカミへの郷愁の思いが読み取れる。

 

金子地区という平安時代からの古い歴史を持ち、加治丘陵を身近に生活する方々の、社会的な意識の高さと、狭山茶を愛する住民の連帯感のようなものを強く感じた。多くの方々に最後まで熱心に参加して頂き、感謝いたします。

 

2019.6.26
日本オオカミ埼玉県支部長
岩堀弘明

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鹿の食害を考える ドイツに見るオオカミとの共生

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(動物や自然を守ろう にて)

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