豊後大野市の橋本祐輔市長によるオオカミ再導入提案に対して、3月8日の地元紙(大分合同新聞 http://www.oita-press.co.jp/localNews/2011_129954755421.html )は、見出しを「オオカミ導入案に異論続出」とし、市議会において、市長がまるで孤立無援であるかのような印象を読者に与える報道をしていた。ところが、この質疑の翌々日に、市長の提案を十分理解した賛同者の質問があった(平成23年第1回豊後大野市議会定例会会議録:平成23年3月 定例会(第1回)-03月07日-02号 http://www.gijiroku.jp/gikai/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?A=frameNittei&USR=bgon&PWD=&XM=000000000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac23%94%4e&B=-1&T=-1&T0=-1&O=-1&P1=&P2=&P3=&P=1&K=1&N=3&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1 -03月09日-04号http://www.gijiroku.jp/gikai/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?A=frameNittei&USR=bgon&PWD=&XM=000000000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac23%94%4e&B=-1&T=-1&T0=-1&O=-1&P1=&P2=&P3=&P=1&K=1&N=5&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1 )。しかし、それは報道されていなかったようである。もし報道されていたならば、一般の人々の印象は大きく変わっていたはずである。ここには報道のあり方の問題がある。事実に則して公平でなければならない報道ではあるが、興味本位のつまみ食い的報道は、結果的には「偏向」報道になってしまい、正しく情報を社会に伝えられないのである。ひょっとして、この記事を書いた記者と新聞社は、オオカミ復活を快く思っていなかったのかもしれない。となると、報道の公平性はまるでなくなり、単なる宣伝紙にすぎない。
2011年前半、全国の地方議会で、オオカミ再導入に関する首長への質疑が、長野県議会を始め、九州の霧島市、長野県須坂市、上田市、青木村で行われている(議事録紹介 割愛)。これに対する首長の回答は、すべてが紹介されていないが、国では否定的だから、検討は時期尚早と述べる「中央追随的反対」、豊後大野市の提案について状況を見ていきたいとする「日和見論」、および同市の提案に賛同する「賛成論」の3つに分けられるであろう。また、ここで知る限りでは、質問の共通点は、現在のシカを含めた野生動物管理の行方に大きな懸念を抱き、オオカミ導入についての提案は最近になって知った、ということである。わが日本オオカミ協会の声は、いつの間にか、広く届き、いくつもの自治体で真剣に取り上げられているのである。
「中央追随的反対論」「日和見論」に関して言えば、思考停止かつ上意下達。こうした考え方は、地方の時代と言われる今日、現場に足を置き住民のリーダーとしての役割を期待されている首長として頼りないものがある。これでは地域での議論の深化はなかなか難しそうだ。ケインズは述べている。「この世でいちばん難しいのは、新しい考えを受け入れることではなく、古い考えを捨てることだ。」なるほどそれもそうだ。いつまでも古ぼけた考えを後生大事に抱えていれば、新しい価値ある発想を受け入れる余地がないというものである。どうやら、国、地方を問わず、政治家諸氏には、新しい発想を受け入れるために頭の大掃除を願いたい。報道関係者にもお願いしたいものだ。
‘ニュース&コメント’ カテゴリーのアーカイブ
地方議会ではオオカミ再導入をめぐってどう議論されているか?-報道の公平さに疑問!
【EU発!Breaking News】ドイツ:保護種のオオカミを撃ったハンター、懲役5年か?
ドイツのハンターが、Saxony-Anhalt地方東部に生息する2頭のオオカミのうちオス1頭を撃ったとし、起訴された。もしこのハンターが「故意に」このオオカミを撃ったことがわかれば、このケースは連邦の自然環境保全法に従って扱われる。その場合、懲役5年と罰金が課されることになる。また、もしハンターがこれをオオカミと知らずに「偶然」撃ってしまったのであったとしても、最長で6カ月の懲役が課されることになるという。自然環境大臣のPetra Wernicke氏は、この件に関し「保護種に対して慎重に対処するのは、ハンターとしての基礎知識の一部である」「今回の件は、非常に許しがたい行為」と厳しく批判している。 (TechnisightJapan編集部 しんたにゆみ:2009年6月10日)
昨年配信の記事であるが、読み返すたびに、ヨーロッパでのオオカミ保護の厳格さが伝わってくる。アメリカ合衆国でオオカミを保護する絶滅危惧種保護法(Endangered Species ACT)が成立したのは1973年であるが、6年後の1979年にECも自然と野生生物の保護に関する協定を締結した。オオカミやオオヤマネコのような中大型捕食者も保護種に指定され、これまでのように簡単に駆除することができなくなった。この協定はEUに引き継がれて今日に至っている。オオカミが家畜を捕食したとしても簡単には駆除許可は出ない。オオカミが何頭もの家畜を犠牲にした場合にだけ駆除が認められる。しかも、加害個体を特定しなければならない。
「赤頭巾ちゃん」「三匹の子豚」などの寓話を生んだ土地柄だけに、牧畜業者をはじめとして、家畜を襲うオオカミなど捕食者への憎しみは格別で、その分、保護に対する風当たりが強いことは想像できるが、かくも厳格な罰則が準備され、しかもきっちり適用されているのは驚きである。ということは、オオカミ保護派の政治的パワーが反オオカミ派のそれをはるかに上回っているということを意味する。
19世紀までに、ヨーロッパの多くの国では、オオカミを絶滅ないしはその寸前まで追い込んできたのであるが、最近ではフランス、ドイツ、スイス、イタリアなど28カ国で17000頭から25000頭のオオカミが復活している。2011年時点でドイツには約60頭が生息しているとされている。約150年振りの復活であるという。今や、オーストリア、イギリス、オランダ、デンマークなどオオカミが生息していない国をあげたほうが早い。これらの国も近いうちにオオカミが生息するようになると推定されている。海に隔てられている島国のイギリスでも、日本と同じように、オオカミ復活運動が展開されており、多くの国民から支持を集めている。
依然、誤解・偏見に影響されて、オオカミを怖がる「赤頭巾症候群」が根強い日本であるが、こうしたヨーロッパの状況を見れば、恐怖心は和らぎ、真にオオカミの生態系での役割を理解し、その復活を支持してもらえるのではないかと期待したい。
(丸山直樹・2011年8月7日)










福知山市ではなぜ常設捕獲隊が集まらないのか
記事を抜粋すると、次のようになろう。
『常設捕獲隊発足できず 福知山市の有害鳥獣対策』
有害鳥獣対策を狙い、福知山市が目玉事業として本年度当初予算で計画した(京都)府内発の常設の捕獲実施隊が発足できずにいる。地元2猟友会から選抜した隊員が有償で月16日間、市内を駆除に回る構想だが、両会との調整が難航。
同市では昨夏、山中で駆除中の猟友会員2人が死亡する猟銃事故が発生。市は対策のため、猟友会に許可を出して日時や地域を定めず駆除を任せていた従来方針を見直し、月2回の一斉捕獲としたが、今度は農家から実効性に不満が出ていた。
こうした背景から、常設の捕獲隊構想は計画的な駆除と安全確保の両立を図る新たなアイデアとして注目を集め、市も「府内の有害鳥獣対策モデルを目指す」(林業振興課)自負と。2月に発表した当初予算案で事業費1千万円を計上した。ところが今年度に入っても発足せず、今も契約に至っていない。
その理由は、関係者の話を総合すると、各地域の班単位で動いていた従来のやり方と違い、なじみの薄いメンバーと土地勘の乏しい山で駆除を行うことへの懸念や、高齢化で連日動ける会員が少ないため、隊員8人の選抜が難航。さらに猟友会長と市担当者の双方が4月以降に交代したことも影響しているという。<以下略>
京都新聞2011/8/23 http://kyoto-np.jp/politics/article/20110823000031