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【EU発!Breaking News】ドイツ:保護種のオオカミを撃ったハンター、懲役5年か?

2011 年 8 月 8 日 月曜日

ドイツのハンターが、Saxony-Anhalt地方東部に生息する2頭のオオカミのうちオス1頭を撃ったとし、起訴された。もしこのハンターが「故意に」このオオカミを撃ったことがわかれば、このケースは連邦の自然環境保全法に従って扱われる。その場合、懲役5年と罰金が課されることになる。また、もしハンターがこれをオオカミと知らずに「偶然」撃ってしまったのであったとしても、最長で6カ月の懲役が課されることになるという。自然環境大臣のPetra Wernicke氏は、この件に関し「保護種に対して慎重に対処するのは、ハンターとしての基礎知識の一部である」「今回の件は、非常に許しがたい行為」と厳しく批判している。   (TechnisightJapan編集部 しんたにゆみ:2009年6月10日)

 

昨年配信の記事であるが、読み返すたびに、ヨーロッパでのオオカミ保護の厳格さが伝わってくる。アメリカ合衆国でオオカミを保護する絶滅危惧種保護法(Endangered Species ACT)が成立したのは1973年であるが、6年後の1979年にECも自然と野生生物の保護に関する協定を締結した。オオカミやオオヤマネコのような中大型捕食者も保護種に指定され、これまでのように簡単に駆除することができなくなった。この協定はEUに引き継がれて今日に至っている。オオカミが家畜を捕食したとしても簡単には駆除許可は出ない。オオカミが何頭もの家畜を犠牲にした場合にだけ駆除が認められる。しかも、加害個体を特定しなければならない。

「赤頭巾ちゃん」「三匹の子豚」などの寓話を生んだ土地柄だけに、牧畜業者をはじめとして、家畜を襲うオオカミなど捕食者への憎しみは格別で、その分、保護に対する風当たりが強いことは想像できるが、かくも厳格な罰則が準備され、しかもきっちり適用されているのは驚きである。ということは、オオカミ保護派の政治的パワーが反オオカミ派のそれをはるかに上回っているということを意味する。

19世紀までに、ヨーロッパの多くの国では、オオカミを絶滅ないしはその寸前まで追い込んできたのであるが、最近ではフランス、ドイツ、スイス、イタリアなど28カ国で17000頭から25000頭のオオカミが復活している。2011年時点でドイツには約60頭が生息しているとされている。約150年振りの復活であるという。今や、オーストリア、イギリス、オランダ、デンマークなどオオカミが生息していない国をあげたほうが早い。これらの国も近いうちにオオカミが生息するようになると推定されている。海に隔てられている島国のイギリスでも、日本と同じように、オオカミ復活運動が展開されており、多くの国民から支持を集めている。

依然、誤解・偏見に影響されて、オオカミを怖がる「赤頭巾症候群」が根強い日本であるが、こうしたヨーロッパの状況を見れば、恐怖心は和らぎ、真にオオカミの生態系での役割を理解し、その復活を支持してもらえるのではないかと期待したい。

(丸山直樹・2011年8月7日)

 

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議員の皆様、なにかお忘れではありませんか?

2011 年 7 月 5 日 火曜日

野生獣の害急増 どうする/猟友会と自民議連が動く
(夕刊フジ 2011・6・28  鈴木棟一の風雲永田町 4240)

「大震災に気を取られている間にもイノシシ、シカ、サルなどの野生獣が猛烈に増え、農産物の被害額だけでも213億円(2009年)と急増している。自民党は二階俊博、武部勤らが中心になって64人の鳥獣捕獲緊急対策議連をつくり、法改正に向けて会合を重ねている。」この記事の抜粋である。この推進者の大日本猟友会の佐々木洋平会長(元代議士)は、農村社会の衰退と崩壊、環境省などによる野生鳥獣保護の行き過ぎ、そしてハンターの激減が原因だと指摘する。また、事務局長の鶴保庸介参院議員は、駆除個体の有効利用が進んでいないからと言う。そして、捕獲報奨金増額のための交付金、銃の管理規制緩和のための法改正、ジビエ料理の普及、外国人ハンターの導入がその対策だという。(「野生獣の害急増どうする/猟友会と自民議連が動く」夕刊フジ 2011・6・28 鈴木棟一の風雲永田町 4240)

記事を見る限り、この提案に別に目新しいものはなく、これまでのなぞりに過ぎない。だから、期待もできない。

ハンター減少は銃砲所持規制の厳格化が原因とは各地で耳にする。狩猟規制に不合理な点は少なくない。何らかの法改正の必要性があることも確かだ。「道楽」(同記事、佐々木氏)ハンターのボランティア活動に甘えている事態でないことも確かだ。当面、捕獲奨励金増額による刺激も必要であろう。でも、お金がかかる。全国の自治体の半数以上が獣害問題で悩む現状では、財政的な限界にすぐに突き当たる。それでなくても巨大な財政赤字を抱えているわが国である。

ジビエ料理をはじめとした駆除個体の有効利用が叫ばれ、国の補助金を元手に何年も前から、各地で取り組みが始まっている。だが、効果はどうなのか。採算が取れない問題が指摘されており、順調に回転しているところは稀と聞く。ジビエ料理は欧州が盛んだ。その本場でもシカとイノシシの害に困っている。となると、その駆除効果は期待できそうもない。経営上の問題も含めてさらに緻密な検討が必要であろう。激害地のシカの生息密度は1平方キロメートル当たり10頭以上である。今では20頭を超える地域も珍しくない。一方、生態系や農林業に被害を及ぼさない適正密度は1~2頭である。こんな低密度になったらシカ産業の成立はまず見込みが立たない。シカを減らすのかジビエ料理を普及させるのか、二兎は追えないのだ。シカ肉処理施設の存続は行政の補助金が続く間だけである。

ポイントは、減少するハンターを増加に転じさせることができるかどうかである。狩猟特区への外国人ハンターの誘致は、銃刀法との関係で実現は先ず無理だろう。仮に年間十万人誘致したとしても(実際はせいぜい数百人止まりだろうが)、危惧されている減少ハンターの穴は埋められない。現在のハンターの動向は、彼らの主要な出身元である農山村社会の動向にかかっている。この動向は国の産業政策と国際的な経済関係に支配されていて、回復に希望は持てない。失礼ながら、この程度の姑息な発想では展望が湧かないのは当たり前というのが正直な感想である。

というわけで、多くの議員を集めた提案は、まるで無駄とは言わないまでも、本質的な解決にはつながらないと言わざるを得ない。この議連に集まった「国家百年の計」にかかわる議員諸氏がこの程度のことをお分かりでないとは思えないから、この「駄目もと」的提案の向うには何か決定打ともいうべき秘策を用意されておいでで、今はその提案の機会を窺っておいでなのだとみるのは穿ち過ぎだろうか。ローコストでハンターの減少の穴を埋め、しかもハンターが到達できない奥山までカバーして、生態系復元、生物多様性保護が可能なのは頂点捕食者オオカミの復活をおいて他にないのである。

(2011年7月2日:丸山直樹)

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「東電、尾瀬の土地売りたいのだけれど……」

2011 年 5 月 13 日 金曜日

尾瀬は日光国立公園から最近分離独立した小さな国立公園である。群馬、福島、新潟、栃木4県にまたがる奥地に位置するこの地域は、わが国でも稀な湿地を中心にした原生自然が残存している。シカ被害問題が深刻で、オオカミの復活を緊急に必要としている自然生態系地域でもある。ところで、この地域の大部分が、国有地ではなく東電の私有地であったと知って驚いた人は少なくないだろう。常識的には、国立公園など自然保護地域は、自然保護行政(=環境省)がすべてを所有し、自然保護を優先する一元的管理を行うというのが当たり前と考える。ところが、土地所有が複雑な日本では尾瀬ですら理想どおりにはいっていない。尾瀬ヶ原、尾瀬沼など尾瀬の主要な地域1万6千haは東電所有なのである。

日本の自然保護運動は尾瀬から始まったといわれるのは、この土地所有が原因である。尾瀬は水系でいえば、日本海に注ぐ阿賀野川水系に入るのだが、東電は、発電用に尾瀬沼の水位を上げて、トンネルを掘り、太平洋に注ぐ利根川に水を落としたのである。このため、尾瀬沼周辺の湿原の多くが水面下に没することとなり、これに反対する自然保護運動と激しく対立することになったのである。約半世紀も前のことである。このため、今でも、尾瀬沼の水位は年に2~3m上下する。

今回の大震災は、日本の土地利用の不合理な部分をあからさまにした。妙なことに被災地から離れた尾瀬にもそれが波及した。読売新聞2011年4月30日によると、東電が尾瀬に所有する土地を売却したいという。東電の尾瀬の所有地の売却理由が、原発事故の被害者への補償金捻出であったとしても、それは問題ではない。この土地は、国立公園の理念である自然保護のためには、国有化以外には考えられない。国有化によってはじめて自然保護に反する私権に基づく開発行為規制が完全に可能となる。この取得に政府がもたつくようなら、英国であればさしずめナショナルトラスト(会員数100万人以上)が動き出すことだろう。しかし、自然保護文化後進国のわが国にはそうした強力な民間組織は存在しない。あくまで政府による自然保護地域としての早急な取得を求めたい。

この際、さらに求めたいのは、尾瀬の立ち入り規制である。最盛期には年間50万人のハイカーが押し寄せたというが、最近では減少しているという。それでも30万人台がシーズンの夏場を中心にやって来る。自然の静寂な雰囲気、野生生物の保護にとっての適正な入園者数は1日1000人、年10万人を超えてはならない。これを実現するためには、北米の国立公園と同じように、入園許可制を採用すべきである。また、利用者からは適正な入園料を徴収し、野生生物保護、施設維持など公園管理の財源に充てたらよい。現地でのアンケート調査では、ほとんどの入園者は入園料徴収に賛成なのである。

最近の自然保護運動は、里山や生物多様性保全、外来種排除と賑やかだが、自然保護(回復)地域の獲得を忘れていないだろうか。開発行為を極力排除できる国立公園の特別保護地区のような自然生態系保護地域が国土の1%にも満たない惨状を思い出してほしい。少なくとも国土面積の2割や3割は原生自然生態系保護地域か回復地域として確保すべきなのである。自然保護地域の拡大こそ、子孫にとっての最高の遺産である。この尾瀬問題を契機に再点検すべきだ。                  (記:2011年5月7日)

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