話題・意見 « 一般社団法人日本オオカミ協会

‘話題・意見’ カテゴリーのアーカイブ

『国際オオカミ・シンポジウム2018』参加ツアー

2018 年 6 月 15 日 金曜日

イエローストーン国立公園
『国際オオカミ・シンポジウム2018』参加ツアー
2018年10月11日(木)-14日(日)アメリカミネソタ州ミネアポリスで『国際オオカミ・シンポジウム2018』が開催され、オオカミ研究家を始め、世界中からオオカミや野生動物を愛する人々が集います。この機会に是非ご参加ください。

【選べる4コース】
A:10/7(日)出発9日間ー国際オオカミセンターの特別プログラム+オオカミシンポジウム
B:10/7(日)出発15日間ー上記Aツアー内容+イエローストーン国立公園特別プログラム
C:10/11(木)出発11日間ーオオカミシンポジウム+イエローストーン国立公園特別プログラム
D:10/11(木)出発5日間ーオオカミシンポジウムのみ

【特別プログラムとは?】
1:国際オオカミセンターが本ツアーに特別プログラムを提供
 センターのスタッフからオオカミの管理と生態系を学ぶ 施設内でのオオカミの観察
 夕暮れのオオカミ遠吠えツアー ハイキングを楽しみながらオオカミのサインを探す
2:イエローストーン国立公園でも特別プログラムを提供
 オオカミを始め様々な野生動物の生態系を学ぶ アニマルトラッキング等のアクティビティ
 イエローストーン国立公園スタッフから野生動物の管理を学ぶ 

【詳細資料】(PDFファイルが開きます)
・オオカミシンポジウム2018ツアー
・旅行代金とお支払について
・参加申込書

【詳しい旅のお問い合わせは】
アズトラベルサービス株式会社
TEL:06‐6947‐7190(担当:大竹)
>>>問い合わせフォーム

コメントは受け付けていません。

声明:森林など自然生態系地域でのメガソーラー建設に反対!

2018 年 6 月 1 日 金曜日

一社)日本オオカミ協会第8回総会(2018年5月19日)

メガソーラー

【声明:森林など自然生態系地域でのメガソーラー建設に反対!】

 私たち一般社団法人日本オオカミ協会は、大面積にわたって森林を伐採して建設されるメガソーラー建設に反対します。森林地帯でのメガソーラーの建設は、森林の価値を大きく損ない、景観破壊(観光価値破壊)、森林植生の消滅、森林土壌の流失、微生物など土壌動物の死滅、昆虫類、両棲類、爬虫類、鳥類、哺乳類などの野生生物の生息環境破壊、そしてオオカミ復活のための環境条件の破壊など、広範囲の破壊をもたらします。大面積の裸地を作り出すメガソーラーは、植生による気温調節機能を森林から奪う結果、地域の気温の極端な上昇と低温化をもたらします。また、流出土砂は河川を埋めたり、浸食したりして、沿岸に流れ出し、埋土や水質汚濁により沿岸生態系に甚大な破壊的影響を及ぼします。メガソーラーは現在全国で100か所以上の建設が進められようとしています。その規模は、一か所で数十~数百ヘクタールに及びます。森林生態系は、歴史的に、農林業、薪炭林利用、観光開発など様々な開発によって破壊され続けてきました。メガソーラー建設による、これ以上の森林破壊は最早認められません。日本のかけがえのない国土を守るためにも、オオカミ復活のためにも、メガソーラーの森林地帯での建設は認めるべきではなく、その規制に関する法的環境の整備を緊急に進めるべきです。

[背景:メガソーラーによる環境破壊]

 核廃棄物の無害化技術が存在しないかぎり、原発などの原子力エネルギーは利用すべきではありません。だからといって、従来の地球温暖化により、化石エネルギーに戻ることはできません。そこで、脱原発、脱化石燃料を目指して、再生エネルギーが注目され、風力、太陽光、地熱、バイオマスといろいろと模索されています。だが、再生エネルギーならどれでもよいというわけではありません。
 ひところソーラーを抑えて花形と目された風力(風車)発電は、バードストライクや景観破壊、超低周波音などの騒音障害などの環境問題によって、立地の選択が難しく、一定規模を超える風車は、都市や村落をはじめとした人の居住地域での建設は適当でないことがわかっています。
 代わって太陽光発電が注目され、現在、急速に普及しつつあります。だが、これも環境破壊が問題になっています。家庭等での自家消費を主目的とする小規模な分散型設備とは異なり、メガソーラー(1千キロワット以上の出力がある大規模な太陽光発電所)など、その面積規模が大きければ大きいほど、環境への負荷は大きくなり深刻となります。メガソーラーによる環境破壊とは、植生の消滅、景観破壊、気温上昇(駐車場並み)、裸地化による不栄養土壌や土砂の流出、微生物など土壌動物の死滅、野生生物のハビタット(生息環境)破壊、昆虫類、両棲類、爬虫類、鳥類、哺乳類などの野生生物の絶滅・減少などです。このように森林の働きを害し、その資源的価値を大きく損ないます。さらに、これからの問題としては、有害物質を含む発電パネルなど廃棄物処理による環境汚染が心配されています。メガソーラーのこうした環境問題の中でも、森林の大面積伐採はオオカミの復活にとっても問題です。これは、オオカミの生存に必要なハビタットを破壊し、自然生態系破壊や生物多様性低下をもたらすことが避けられないからです。これは、増えすぎシカによる生態系破壊と同様かそれ以上です。植生破壊はシカの生息密度と比例的ですが、シカがいなければよいというわけではありません。シカは、捕食者であるオオカミとともに食物連鎖の担い手として生態系の構成者として不可欠な存在であるからです。しかも、適正な低い生息密度であれば生物多様性を高め、その維持に貢献します。しかし、メガソーラーは生態系にとってはあくまで異物に過ぎません。メガソーラーの存在は生態系に対しても生物多様性に対しても貢献は期待できないのです。こうしたことから、メガソーラー建設は、森林地帯をはじめとした自然地域では認められません。
 これらの様々な問題から、メガソーラー発電所の建設は各地で厳しい反対運動を引き起こしています。こうして、現在、野放し状態にあるメガソーラーの建設を規制する法的整備が求められています。基本的には、国土保全の観点から、メガソーラーは山林原野など山地での建設は禁止されるべきであると考えられます。

[メガソーラーではなく、水力発電を見直す]

 風力、メガソーラーだけでなく、自然再生エネルギー源として水力を再評価すべきだという指摘があります(竹村公太郎著「水力発電が日本を救う」東洋経済2016)。日本には幸いなことに全国にダムが建設されています。戦後電源開発の花形だったダムも、水没、局地的地震発生などの公害が危惧され、先祖伝来の耕作地を失い、住み慣れた居住地を追われた住民による地域ぐるみの激しい反対運動がいつまでも記憶に残っています。だが、一旦出来上がったダムは壊れることもなく、今でも各地で健在です。それらは、発電能力を含めて、半永久的に利用可能であると考えられています。さらに水力発電量アップができるのはもちろん歓迎なわけですが、これは可能だと考えられています。すなわち、新ダムを造る必要はなく、既存ダムの貯水量を上げる嵩上げ、そして多目的ダムの利水強化に向けての運用方法の変更、砂防ダムや多目的ダムへの発電機設置などが有望だと言われています。さらには、農業用水や汚水処理場の排水路への小型発電機設置による中小規模発電も考えられています。私たちの先人が、公益への貢献のため、先祖伝来の家と田畑を犠牲にし、自然環境も犠牲にして建設に協力して現代に引き継がれた膨大なエネルギー遺産を、現代人が無駄にすることは許されないのではないか、と竹村氏は指摘しておいでです。
 これに加えて、海洋の潮汐や海流を利用する潮力発電も水力利用の一つです。潮の満ち干の持っているエネルギーに着目するならば、全国各地の湾や入り江もダム機能を持っているわけです。瀬戸内海はその最大のものでしょう。日本列島周辺には黒潮や親潮など巨大なエネルギーを持った海流が勢いよく流れています。これらも利用可能になれば、さらに巨大な電力が入手可能と考えられるのです。

[水力発電の持続的利用とオオカミ復活]

 水力エネルギーの利用にとって、ダム湖や水路の堆砂が問題となります。ダムや水路への堆砂が進めば、その分だけ貯水量が減ってしまいます。土砂流出は、通常、天然林と比べて荒廃人工林で大きいことが知られています。現在、全国の森林面積に占める人工林の割合は41%、しかも手入れがされていない放置林が多く、人工林は荒廃が進むばかりです。そこで、人工林の手入れや収穫期にある人工林伐採の促進、人工林の針広混交林化、あるいは天然林化が求められていますが、伐採や改植すれば、シカの餌植物の増加をもたらし、その分、シカの食害を被り、林地の裸地化はさらに進みます。こうした、最近のシカの増え過ぎは、里山から奥山に及び、全国的に森林の裸地化が進んでいます。これは、もちろん、土砂流出量を増加させ、水力エネルギー源に悪い影響をもたらすことは説明を要しません。
 現状ではこのようなシカの増え過ぎをコントロールするためには狩猟者が欠かせないのですが、高齢化と狩猟離れによって狩猟者の下げ止まりは見えず、必要なハンターの確保は見通しが立っていません。これに加えて、予測されている長期的な人口減少で、さらに狩猟者のリクルートは難しくなるので、いつまでも狩猟に頼り続けることはできません。実際のところ、今でも狩猟者によるシカのコントロールには成果が出ていないのです。やはり、自然調節を重視すべきなのです。自然調節の有力な担い手は、オオカミしかありません。明治時代に絶滅したオオカミの復活はどうしても欠かせません。日本の森の守り手はオオカミです。脱化石エネルギー、そして脱原発の切り札の一つとして水力の活用にとっても森の守り手であるオオカミの再導入は欠かせません。私たちは森なしでは生きられないのです。私たちの生存に欠かせないエネルギーを得るためには、これ以上森を傷つけてはいけないのです。   
                                   (以上)

コメントは受け付けていません。

【意見】毒殺によるシカ管理はすべきでない

2018 年 3 月 14 日 水曜日

鹿毒殺

毒薬で野外のシカを殺すことは、危険猟法として法律で禁じられています。しかし2014年に静岡県が硝酸塩を利用したシカの毒殺方法について発表し、環境省では野外での実証事業を行う段階になったとして、法の例外規定である大臣による許可のもと実証事業を実施するため、2017年12月11日~2018年1月9日にかけてパブリックコメントを募集しました。ウェブページを見ても、なぜ毒殺の研究を進めなければならないのか、その手法、その他必要な情報の記載がないため、非常に意見を述べにくいハブコメでした。

学術研究目的に限定し安全性が確認されるまでそれ以外は許可しない旨の説明があるものの、果たして本格的に事業が始まったとき、生態系をかく乱するなどのおそれはないのでしょうか。 説明図中の文に手がかりがありました。「広く野外に散布される利用形態が想定される」「鳥獣保護管理事業において広く使用が認められるまでの人畜や生態系等への影響等の科学的知見が不足していることから、それを明らかにするための学術研究を目的とするものである」とのこと。これにより研究の目的は、今後鳥獣保護管理事業において広く野外に散布することを想定していることが分かります。

パブコメ募集にあたり明らかにされていませんが、「広く野外に」が全国の森林、国立公園などを含んでいるとしたらどうでしょう。いつまで続くともしれない自然生態系へのこのような不自然な人為的介入をもって野生動物の保護管理と呼ぶことはできません。かつてオオカミをはじめ、トキ、カワウソ、ニホンジカ、カモシカ、ツキノワグマ・・・を絶滅、地域絶滅、絶滅寸前まで追い込んだ人間の自然かく乱を思い起こしてください。毒薬は非常に強力な自然かく乱の手段です。「害獣対策として野外で毒薬を使う」などという発想が国民に浸透することは、個別の毒薬そのもの以上にリスクが大きいと危惧します。

動物倫理や自然に相対する哲学等の社会的議論を置き去りにしたまま実用化を進める態度には、手段を問わずシカの数だけ減らせればよいという安易な考え方が透けるようです。しかし野生のシカを家に棲みついたネズミや害虫のようにイチコロに殺すことは、仮に可能でも実行してはならないのでないかと私は思います。
生態系における捕食者としてのオオカミの役割を理解していても、狩猟を強化すればオオカミは不要、毒薬を使用すればオオカミは不要という事なら、結局は自然のことを理解しておらず、理解しようともしていません。狭く人間中心主義の考えにとらわれ、いつまでも自然の摂理に人為をもって逆らう方法を考え続けること、これは本当に私たちがすべきことではないはずです。

最初の研究発表のニュースを聞いたとき、私は本当にここまで来るとは思いませんでした。うすら寒い感覚を持ちながら、環境省に私個人のコメントを送りました。

■コメント1
広く野外に散布される利用形態を想定し、将来的に鳥獣保護管理事業において広く使用を認めるという方向性に異議あり。特殊な場所に限定するならいざ知らず、自然生態系の野生鳥獣を管理するため毒殺するというのはあまりに不自然な方法である。また思想的にも日本人の自然観になじまない。
野生生物の毒殺は一度に多数の駆除が可能で、かつ散布地域の個体を無差別に捕殺することにもつながりかねない。あるいは、特定のエサに誘因されやすい個体のみを選択して捕殺する可能性もある。そもそもニホンジカであれば、捕食者により、より弱い個体が選択的に捕食され生息数が一定に保たれるのが自然な生態である。それらを鑑みれば、鳥獣保護管理事業における頭数管理として毒殺を用いることは、いずれのケースでも自然の摂理に沿わない不自然な捕殺方法だといえる。そして狩猟鳥獣の不自然な捕殺は、長期的に進化上好ましくない結果をもたらすことがある(※1)。
通常の狩猟であれぱ人間と動物の知恵比べの側面もあるが、毒殺は人間が優位に立ち、簡単に多数の殺傷が可能な手法である。野生動物の命と対峙するにはあまりに安易な手法で、森林やそこに棲む命を畏れ敬ってきた日本人の自然観から逸脱するものだ。神社の社叢により生態系が守られたように、我々に引き継がれてきた自然観にも自然への過度な干渉を抑制する機能があり、このような形でなし崩しに侵されてよいものではない。
※1デビッド・W・コルトマン.トロフィー狩猟がもたらす進化上好ましくない結果.ネイチャー426 6967.2003年12月11日

■コメント2
硝酸塩を使用した捕殺は簡便で効果的な反面、違法な使用が容易でその場合には環境への高負荷があるケースも想定されうる。しかし違法使用者の取締りや違法使用後の環境負荷低減等には困難も予想され、それらを考慮すれば、実用化を目的とした研究はすべきでなく、審査基準設定の必要性もない。
密猟などで違法に使用された場合、個体数の過少化、死亡個体を摂食した動物への悪影響、その他周辺環境への悪影響等が懸念される。希少生物への間接的な影響等も広く想定する必要があろう。自然生態系のシカ等の個体数の適正化が目的ならば、むしろハイイロオオカミ再導入による生態系の修復のほうが環境や人間社会への負荷が少なく、総合的に適切な施策として検討されてよい(※1~6)。いまなぜ毒殺のような高リスクの技術開発をあえて進めようとするのか理由が分からない。やめておいたほうが良いと思う。

※1丸山直樹「オオカミが日本を救う!」白水社(2014)
※2 「オオカミの復活やハンターの育成、専門家の育成も十分に検討に値する・・・」高槻成紀「シカ問題を考える」p205、ヤマケイ新書(2015)
※3「オオカミについては社会の合意が得られれば再導入したいと考える哺乳類学者も多い。」松田裕之「世界遺産のシカを獲るのは是か非か」WEBRONZA(2017年6月26日)
※4「・・・オオカミに来てもらって放してみるということを実験的にやってみてもいいような気がする・・・」「・・・パイロット的にやってみようというのがあってもいいんじゃないかと私は思います。そういう柔軟な姿勢で臨んでいただきたいと思います。」
篠原孝.第186回国会環境委員会第6号.平成26年4月11日
※5「今、鹿、イノシシがふえ過ぎてしまったのは、その頂点捕食者たるオオカミを絶滅させてしまった、これは人間がやってしまったことであるんですが、ここは反省としてしっかりと持たなければいけないんだろうなと私は思っていますし、これからオオカミを導入するということも、本当に検討する段階に入っているだろうなと思っております。」
百瀬智之.第186回国会環境委員会第6号.平成26年4月11日
※6「・・・(オオカミについて)今後、生物多様性の基本法案、こういうものに基づいて、大自然の摂理の中でどう共生をしていくかというのも一つの今後の課題かとも認識をいたしております・・・」
北川知克環境副大臣.第186回国会環境委員会第6号.平成26年4月11日

大槻 国彦(JWA紀州吉野支部)

コメントは受け付けていません。


鹿の食害を考える ドイツに見るオオカミとの共生

当協会が紹介されています
(動物や自然を守ろう にて)

トカゲ太郎のワンダー・ワールド

Get Adobe Flash player