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白籏史朗氏追悼

2019 年 12 月 9 日 月曜日

山岳写真家の白籏史郎さんのご逝去(2019年11月30日)に哀悼の意を表します。
白籏氏は、人々の心を打つ、多くの素晴らしい山岳写真を残してくださいました。同時に、日本高山植物保護協会を設立し高山植物の保護に尽力されました。晩年は、日々激しさを増すシカの食害に心を痛め、南アルプスの景観生態の保全とともにオオカミ復活の必要性を訴えておいででした。

2009年10月に同協会が開催した第1回南アルプス100人会議での自由討論において、シカの天敵であるオオカミを放獣したらどうかとの発言があったことを知り、私たち日本オオカミ協会の会員も、2010年7月に開催された第2回南アルプス100人会議に参加し、私たちの活動をアピールしたところ、白旗さんから力強い賛同の言葉を頂きました。 その後2012年1月に発刊された高山植物保護協会の機関誌JASPA NEWS 67号巻頭で、オオカミ再導入を図り、日本の自然界を正常な姿に戻したいとの決意を書かれておいででした。また私達JWAと連携するために丸山直樹会長が2回講演会に招待されています。

私たちJWAも展示等で南アルプスのシカ被害状況を説明する際には白籏史郎さんが賛成してくれていることを伝えてきました。しかし、2016年5月発刊のJASPA NEWS80号には同協会静岡支部活動報告に反対記事が掲載されたことは大変残念なことです。白籏さんもさぞ悔しく思っておいでだったのではないでしょうか。

南アルプスの自然を愛する白籏さんは、高山植物を守るためとはいえ高山帯に人工物のフェンスが設置されることを苦々しく思っておいででした。高山植物保護協会はシカ害の周知とフェンスの設置、管理の強化を訴えていますが、それでは日本の自然界を正常な姿に戻したいという白籏さんの思いは実現できないと思います。オオカミ再導入への白籏さんの強い思いを実現するために、オオカミ再導入にご理解を頂き、ともに実現に向けて活動することをお願いします。これは白籏史朗氏の強い希望です。白籏さん、どうぞお見守りください。

Screenshot of shiro-shirahata.net

白籏史朗氏オフィシャルサイト

一般社団法人 日本オオカミ協会

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【新刊】丸山直樹著『オオカミ冤罪の日本史―オオカミは人を襲わない』

2019 年 11 月 23 日 土曜日

JWA自然保護教養新書(2019)

オオカミ冤罪の日本史―オオカミは人を襲わない

 多くの人は、オオカミについて大なり小なり、わだかまりをお持ちのようです。「人畜を害する凶獣」といった、かつての国語辞典にあったような「猛獣観」です。オオカミが家畜を捕食することは事実としても、「人を襲い、人を食う」性質があるというのは本当でしょうか。そうだとしたら怖いですよね。これには「赤頭巾ちゃん」のようなヨーロッパの寓話の影響があることは良く知られていますが、日本にもオオカミによる人食いに関する古文書が数多く残っていて、「・・・だから」と口にする人もすくなくありません。日本でのそうした出来事が本当のことなら、今でも数多くのオオカミが生息するヨーロッパや北米、モンゴルをはじめとした国々の人々がいつもオオカミに襲われていないのはむしろ不思議です。

 このような素朴な疑問を解き明かすことが本書の主題です。とすると、わが国の書物や古文書に記されているオオカミ事件を検証することが必要だと考えられませんか。そうした記録にある人食い事件は本当のことだったのでしょうか。古文書の信憑性の検証は歴史学にとっては常識なのですが、オオカミに関する歴史民俗学書でもこうした作業が欠かせませんし、これがなければオオカミを間違って理解してしまうことにもなってしまいます。それはオオカミにとっても私たちにとっても不幸なことだと思います。

 ここで紹介する新刊、丸山直樹著『オオカミ冤罪の日本史』(JWA自然保護教養新書2019)は、オオカミの真実に迫るために、これまで定説のように扱われてきた「オオカミ人食い」に関する事件を、関係文献を参照しながら根気よく検証した仕事です。その方法は簡単です。文書を鵜呑みにしないで、現代のオオカミに関する科学的な知見と照合しながら検証すること、また事件当時の様々な歴史的な事実と照らし合わせて、その周辺や背景を含めて多方面から総合的に解釈することでした。この作業の結果、驚くべき発見がありました。

 なんと、オオカミが人食いの冤罪を着せられたのは江戸時代だったのです。謎解きの結果、“犯人グループ”が浮かび上がりました。

 例えれば、“主犯”は、元禄の飢饉に関わる失政の責をオオカミに着せて幕府の追及を逃れた越中、諏訪高島、尾張、津軽、南部といった諸藩、“教唆犯”はそうした条件を準備強制した、あの有名な綱吉の政令群「生類憐みの令」。そしてこの時代に国外から侵入した狂犬病はもうひとつの“共同正犯”といってよいでしょう。オオカミは狂犬病に罹った犬による人身殺傷事件の罪も着せられていたのです。そして、江戸時代に大いに興隆した出版文化はこれを無分別にも社会に拡散したことで“従犯”としての罪を負うべきでしょう。明治以降、「赤頭巾ちゃん」などの新たな外来の“人食い冤罪菌”が侵入しますが、その定着のための土壌は江戸時代に用意されていたのです。明治以降の権力はオオカミに対して偏見の塊でした。ところで、当時の農民や猟師たちは、オオカミを狂暴な蛮獣といったイメージではなく、そのまるで正反対、オオカミは人を恐れて人前に姿を見せない臆病な動物と見ていたようです。オオカミは好んで人を襲うような動物ではなかったのです。これで、ヨーロッパ、北米、モンゴル、中近東、インドやネパールといったオオカミ生息国の人たちのオオカミ観と一致します。

 本書の狙いは、オオカミ人食いの冤罪を晴らすこと。濡れ衣の元凶は元禄飢饉に窮した幕藩体制下の「大嘘」。古代シュメールの箴言「嘘をつけ、然る後、真実を言え。それは嘘と思われるだろう」。もうこれは卒業しましょう。虚言を繰り返すコピペ出版はおしまい。いつまでもオオカミを信じないで、その復活を逡巡していると、とんでもない災禍を招きます。シカ荒れによる自然破壊、山地崩壊、大洪水、そして豚コレラ流行も。どれもこれも生態系の有力な捕食者オオカミが絶滅したままになっていることが原因です。オオカミに関する誤解を解いて、オオカミ再導入を一日も早く実現しましょう。オオカミ復活の必要性については良く分かっているのだが、人食いが心配だからとためらっておいでの方は是非とも本書のご一読をお勧めします。

丸山直樹著「オオカミ冤罪の日本史」JWA自然保護文化教養新書167頁
一社)日本オオカミ協会2019年11月発行
定価:550円+送料150円

ご購入ご希望の方は下記フォームからお願いします。

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オオカミセミナー(学習会)in長野のお知らせ

2019 年 11 月 14 日 木曜日

『洪水!豚コレラ(CSF)!オオカミ再導入を急ごう!環境省に決断を求める!』

主催:一社)日本オオカミ協会長野県支部

 今年は熱夏、猛烈な台風に見舞われ、いまだに傷跡は癒えません。台風19号の大雨では、長野県も千曲川の堤防決壊などで大きな被害に遭遇しました。元凶は気候変動と見られており、これからがますます心配です。気候変動の主要な原因の一つは、国際的な森林の大破壊があります。

 日本でも増え過ぎたシカによる森林破壊が全国的に拡大し続けています。昨年からCSF(豚コレラ)の流行が始まりました。 CSFの後には、さらに恐ろしいASF(アフリカ豚コレラ)が控えています。 これの鎮圧はまずもって野生のイノシシの増加の抑制が欠かせません。これにはオオカミの捕食が決め手です。オオカミがCSFの発生と抑制に大きな役割を果たすことは日本ではほとんど知られていません。

 スロバキアでは、オオカミの生息地域ではCSFの流行は記録されていません。 CSF対策としてもオオカミ復活は急ぐべきなのです。 我が国でのオオカミの絶滅が悔やまれます。行政はどうしてオオカミを避けるのでしょうか。CSFについて本会会員の獣医師、 吉浦信幸さんにお聞きします。 オオカミは地球上から完全に姿を消したわけではありません。北半球の広い地域のいろいろな場所でオオカミは生き残っています。しかも、欧米諸国では復活保護が進められています。モンゴルは、以前から日本の再導入候補地域として話題になっていました。同国の少なからぬ地域では、多くのオオカミが生息しています。しかし、そのわりには、その生息と保護管理の実態について、わたしたち日本人はほとんど知りませんでした。

 首都ウランバートルから遠くない場所にある、小さな国立公園、フスタイにも数群、数十頭のオオカミが生息しています。本年5月、本会の理事、大槻国彦、高木英寿のお二人がフスタイ国立公園を訪問し、同公園の管理者による案内により、オオカミやモンゴルノウマ、アカシカ、それにシラカンバ林が残存する草原、そして遊牧民の様子を視察して来ました。希少で貴重な体験です。今回は大槻さんに、その旅行記とオオカミと自然保護をめぐる両国間の民間交流の可能性について語っていただきます。

 オオカミと伝染病。両者の生態学的な関係については、あまり知られていませんでした。今回のセミナーは、この問題に関する知識習得と理解を深める貴重な機会です。下記により開催しますので友人知人お誘いの上ご参加下さい。

                記

【日 時】 12月8日(日) 午後1時開会
【場 所】 長野市勤労者女性会館しなのき 三階:第二会議室
      長野市大字鶴賀西鶴賀町1481-1(下記地図ご覧下さい)
      電話:026-237-8300 

【参加費無料】
【話題:1】 「モンゴル・フスタイ国立公園のオオカミの生態と保護問題」
        奈良県紀州吉野支部 大槻国彦さん
        講演1時間 質疑応答30分
【話題:2】 「伝染病とオオカミ(豚コレラ、アフリカ豚コレラと狂犬病)
        長野県支部 獣医師 吉浦信幸さん
        講演40分 質疑応答20分

【会場地図】

【周辺駐車場】 https://www.shinanoki.org/image/Parking_Map2018.pdf

【問い合わせ】 長野県支部 永井 一雄 まで
  E-mail:nagai☆net.email.ne.jp ( ☆を@ に変換して送信してください)
   TEL:090‐9667‐0085

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鹿の食害を考える ドイツに見るオオカミとの共生

当協会が紹介されています
(動物や自然を守ろう にて)

トカゲ太郎のワンダー・ワールド

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