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東海支部セミナー:オオカミ里山での共存

2020 年 1 月 26 日 日曜日
東海支部セミナー第4回
オオカミ里山での共存
豚コレラ(CSF):増え過ぎへの警鐘
2020年2月22日13:30~16:30
名古屋東別院会館2F 210椿

東海支部セミナー第4回 (参加無料)

豚コレラ(CSF):増え過ぎへの警鐘

2020年2月22日13:30~16:30

会場:名古屋東別院会館2F 210椿
アクセス:地下鉄名城線「東別院駅」下車、4番出口より正面信号直進200m

 豚コレラ(CSF)は、2018年岐阜県、2019年愛知県で発病。瞬く間に隣接する地域の東海、中部、北陸、近畿、関東地方の飼育豚及び野生イノシシに伝染し、終息の見通しがつきません。莫大なお金をかけて、ワクチン散布、十数万頭の罹病豚の処分、イノシシコントロールなどが行われています。しかし、CSFはこれからも拡大する可能性が大きいのです。日本の養豚産業にとっては致命的です。

日本での最初の流行は1888年、北海道へ輸入された米国産豚が原因。これは東北地方と関東北部の野生イノシシ個体群に蔓延し、絶滅に追い込みました。その後、各地で流行を繰り返し、119年後の2007年、ようやく「豚コレラフリー宣言」も束の間、今回の再流行。増え続けるイノシシの過密を一因とする指摘もあります。ならば、この過密解消を、ジビエによる地域振興を狙う狩猟強化に期待できるのでしょうか。今でも減少高齢化に悩む、狩猟界はこの期待にこたえられるのでしょうか。そもそも豚コレラウイルスの進化生態とは。このウイルスはどこに潜んでいたのでしょうか。そして、何時、どこからやってきて、どうして牙をむくように変異したのでしょうか。その増殖環境はどのようなものなのでしょうか。その反対の致死環境とは。彼らに弱点はないのでしょうか。

欧州ではオオカミの役割を重視しています。オオカミの復活を考えなくてもよいのでしょうか。これだけでなく、さらに強力な伝染性、致死性を有するASF(アフリカ豚コレラ)が我が国への侵入を狙っています。我が国の養豚業と野生イノシシはどうなるのでしょうか。獣医、森林保護、狩猟などの専門家によるいろいろな角度からの情報を提供してもらい、参集者の皆様にも参加していただき意見交換するフォーラムを用意しました。

多くの方々にお集まりいただき、理解を深めたいと願っています。

【基調講演内容】

1)自然環境と豚コレラ (瀧川桂三、JWA東海支部長)
2)豚コレラの現場でオオカミを考える (村上誠治、土岐川庄内川源流の森委員会事務局長、恵那市猟友会副会長、イノシシワクチン投与・個体数調整事業に従事、JWA会員)
3)野生動物の感染病とオオカミ(吉浦信幸、獣医、信濃猟友会、日本クマネットワーク、JWA会員)
4)【総合討論】生態系・生物多様性保全と豚コレラ(CSF)など伝染病の流行を私たちはどう考えるのか(司会、丸山直樹、JWA会長、農学博士、東京農工大学名誉教授)

PDFチラシ

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獣害から森を守る!ニホンオオカミの復活

2019 年 12 月 15 日 日曜日

[富士見市コミュニティ大学講演]
[2019年12月6日(金) AM10:20~11:50]
[会場:埼玉県富士見市立老人福祉センター]

 富士見市コミュニティ大学は、高齢者の社会参加を目的に活動している団体で、富士見市老人福祉センターで毎月2回テーマを変えて、講演会等を活発に開催している。この大学の理事を務めている大木さんは私の高校の後輩であり、以前から講演の要請を受けていたもので、協会埼玉支部としても良い機会を得られたと思っている。当日は、会員登録数約190名のうち150名ほどの皆さんがビッシリと着座されていた。講演中は、オオカミの想像とは異なる意外な姿に、居眠りする人もなく興味が尽きぬ様子だった。まだまだオオカミについての知識は、一般社会に浸透していないと感じた。

【講演要旨】

 自然生態系は、岩石、土壌、水、空気などからなる非生物部分と、植物、動物など無数の多種多様な生物から成る生物部分の二つの部分から構成される複雑系である。この系は、エネルギー流と物質循環によって機能し、地上に生物が出現した45億年前から絶え間なく進化を続けてきた。人類の自然生態系への働きかけは、年ごとに激しさを増している。生物部分は、破壊が許容限界内であれば再生が可能であるが、非生物部分は一旦破壊されると再生はほぼ不可能である。産業革命以降の人口と科学技術の発達による経済の成長は最早地球自然生態系の再生キャパシティーを超えていることが警告されている。たとえ再生が可能であったとしても地質学的歳月を要するであろう。

 最近、山林の保水力の極端な低下も生態系劣化の現象の一つである。我が国の場合、この現象は、増え過ぎたシカにより食い尽くされた山林で顕著である。シカの過剰採食と踏みつけによって植生を失った林床からは土砂が流失し、渓流だけでなく、全国各地のダムにも堆積し、その貯水能力を大きく低下させ、水害の規模増大の大きな要因になっていることが指摘されている。こうしたシカの脅威についての警鐘は環境省のポスターにもみることが出来る。

 わが国の人口は江戸時代になって急激に増加し、これにともなって薪炭、堆肥生産量が増大し、里山の拡大と荒廃が全国的に顕著となった。こうした田畑の開拓にともない、シカやイノシシなどの野生鳥獣も増加した。この一方でオオカミ害獣観が社会通念化し、明治時代になって西欧文化の導入が手伝って、欧米諸国同様に、オオカミは駆除されて絶滅に追い込まれた。

 オオカミは日本では根絶に追い込まれた。しかし、欧米はじめ各国では完全に絶滅したわけではない。中国、ロシア、南欧、東欧、中近東、ユーラシア大陸やインド亜大陸、それにカナダ、アラスカなど北米大陸などの各地でオオカミは生息し続けている。こうした生残地域からオオカミを再導入すれば、オオカミの復活は可能である。また、生残地域からの移入オオカミを保護することによる復活も可能である。現在、欧州各国では24か国にオオカミが保護されて生息しているが、これらは人工的な再導入ではなく、オオカミ自身の移住による。ドイツのオオカミは隣国ポーランドからの自然移入による。フランスでのオオカミの復活は隣国のイタリアやスペインからの移入個体による。デンマーク、オランダ、ベルギーなどの最近の復活オオカミは周辺国からの移入である。

 人の手による再導入は、米国の、イエローストーン国立公園(四国の約半分の面積)を含む北部ロッキー山地で1995・96年に実行され、カナダから運ばれた60数頭からいまでは1600頭にまで増え、さらに周辺地域に分布を拡大している。周囲を海に囲まれた日本の場合、イエローストーン国立公園・北部ロッキーオオカミ再導入事業に倣って、周辺生息地域の中国、モンゴル、シベリア、ネパールなどヒマラヤ諸国から連れてきて放すことによって実現は難しくない。

 イエローストーンではオオカミの復活によって、エルクジカとコヨーテの生息頭数は激減し、ネズミ類や野兎の数が増え、アカギツネも増加した。シカによって食害されていた川辺のヤナギやヤマナラシなどの植生が回復し、川には魚類が増殖し、ビーバーやカワウソが戻り、多くの野生鳥類や昆虫類が戻ってきて、生物多様性は目に見えて回復した。また、川辺の植生の回復によって岸辺や川底の流水による浸食、掘削がおさまり、流れは安定し、生態系全体がシカによる破壊から復旧した。我が国でもオオカミの復活によって荒廃し続けている生態系が救われることが考えられる。

 オオカミの復活は、シカやイノシシによる農林業被害や交通事故を大きく軽減し、国民の生産と生活の安全を守ると同時に、被害防除に要する莫大な財政支出を減らし、国民経済の効率的運用が実現できるだろう。古来より日本の農民は、オオカミのシカやイノシシなど害獣の増殖を抑制するという生態学的役割を認識し、敬意と感謝を込めて神使として神社に祀ってきたのである。

 しかし、今でもオオカミを「人畜を害する猛獣」とみて忌み嫌う人が少なくない。これは誤信である。古来、一匹オオカミも送りオオカミも人を害するとは考えられてこなかったし、じっさいに人を襲うようなこともなかった。日本の地域社会の人たち、とりわけ農民や猟師は、オオカミは臆病で人を恐れ、人前には姿を見せようとしない動物であると考えていたのである。オオカミを悪者、害獣と見なすようになったのは、江戸時代でも飢饉に襲われた元禄時代の1700年頃からである。この冤罪は、明治の欧米追随の文明開化策で上塗りされて、オオカミはついに駆除されて絶滅に至ったのである。

【質疑】

・オオカミ導入は、かつてのマングースの失敗のようなことにならないか。

・童話「赤ずきんちゃん」のように人が襲われることはないか。

・オオカミの姿は?大陸のオオカミとニホンオオカミについて。

・オオカミの絶滅理由は・・・・などであった。

                                    (完)

      岩堀弘明   (一社)日本オオカミ協会副会長)

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白籏史朗氏追悼

2019 年 12 月 9 日 月曜日

山岳写真家の白籏史郎さんのご逝去(2019年11月30日)に哀悼の意を表します。
白籏氏は、人々の心を打つ、多くの素晴らしい山岳写真を残してくださいました。同時に、日本高山植物保護協会を設立し高山植物の保護に尽力されました。晩年は、日々激しさを増すシカの食害に心を痛め、南アルプスの景観生態の保全とともにオオカミ復活の必要性を訴えておいででした。

2009年10月に同協会が開催した第1回南アルプス100人会議での自由討論において、シカの天敵であるオオカミを放獣したらどうかとの発言があったことを知り、私たち日本オオカミ協会の会員も、2010年7月に開催された第2回南アルプス100人会議に参加し、私たちの活動をアピールしたところ、白旗さんから力強い賛同の言葉を頂きました。 その後2012年1月に発刊された高山植物保護協会の機関誌JASPA NEWS 67号巻頭で、オオカミ再導入を図り、日本の自然界を正常な姿に戻したいとの決意を書かれておいででした。また私達JWAと連携するために丸山直樹会長が2回講演会に招待されています。

私たちJWAも展示等で南アルプスのシカ被害状況を説明する際には白籏史郎さんが賛成してくれていることを伝えてきました。しかし、2016年5月発刊のJASPA NEWS80号には同協会静岡支部活動報告に反対記事が掲載されたことは大変残念なことです。白籏さんもさぞ悔しく思っておいでだったのではないでしょうか。

南アルプスの自然を愛する白籏さんは、高山植物を守るためとはいえ高山帯に人工物のフェンスが設置されることを苦々しく思っておいででした。高山植物保護協会はシカ害の周知とフェンスの設置、管理の強化を訴えていますが、それでは日本の自然界を正常な姿に戻したいという白籏さんの思いは実現できないと思います。オオカミ再導入への白籏さんの強い思いを実現するために、オオカミ再導入にご理解を頂き、ともに実現に向けて活動することをお願いします。これは白籏史朗氏の強い希望です。白籏さん、どうぞお見守りください。

Screenshot of shiro-shirahata.net

白籏史朗氏オフィシャルサイト

一般社団法人 日本オオカミ協会

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鹿の食害を考える ドイツに見るオオカミとの共生

当協会が紹介されています
(動物や自然を守ろう にて)

トカゲ太郎のワンダー・ワールド

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