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オオカミ恐怖心を煽る環境行政!

2016 年 6 月 11 日 土曜日

国民に科学的で正しい情報を提供すべき行政の本分を忘れてはいないだろうか?

〇環境省は狩猟に偏重し、オオカミを危険視

 環境省は、野生動物の個体数を抑制し生物多様性を守るために、海外の多くのオオカミ学者が認めているオオカミの自然調節効果を無視し、狩猟振興による鳥獣の捕獲強化を進めています。この政策は、狩猟団体、研究者、環境保護団体、マスコミ、行政一体での検討結果とされる『狩猟と環境を考える円卓会議提言(2011年)』(環境省)に基づいているようです。また、各地で精力的に狩猟フェアを開催し、若い人たちにハンターになるように呼び掛けています。そして、同省発行のパンフレット『いま、獲らなければならない理由(わけ)-ともに生きるために-』では、「オオカミを放すことは人々の安全に対する不安の問題があり、人の手による捕獲を進めることが有効である」と主張しています。

〇オオカミは本当に危険なのか?

 パンフレット『いま、獲らなければならない理由(わけ)-ともに生きるために-』に書かれている「オオカミによる人々の不安問題」について、危険とされる具体的な事例を環境省に問い合わせました。
 これに対し、「詳細な事例は把握していないが、ヨーロッパでは20世紀以前にフランスなどで人身事故が発生しており、1750年から1900年の間で、数百人以上の死者が出ている。近年では、オオカミに襲われて人が死亡するケースはまれになっているが、1950年以降では、オオカミによる死者は、ヨーロッパで8人、ロシアで9人、北米では0人である」との回答がありました。
 19世紀以前の記録の真偽は確かめようがありません。野犬とオオカミの区別もはっきりしなかった時代のことです。ですから、その信ぴょう性は希薄だと考えられます。ところで、現在、EUはオオカミを保護の対象にしています。そしてヨーロッパ各地(25か国)にオオカミは生息しています。それも原生地域ではなく、いわゆる里地里山といった人里に普通に生息しています。しかし、人身事故は何も起きていません。とはいえ、オオカミを恐れる人は依然少なくありません。そこで、ヨーロッパのオオカミが生息する国々のオオカミ学者18人がノルウェーに集まり、この問題を検討しました。その結果は、John Linnell他17名 ”The fear of wolves: A review of wolf attacks on humans” NINA(Norsk institutt for naturforskning)731:1-65,Trondheim(2002)という報告書にまとめられ、出版されています。
 この結論は、ヨーロッパで検証可能な信頼に足るオオカミによる事故は過去50年間に9件が起きており、その原因は狂犬病に罹ったオオカミによるものが4件、残りは5件は餌付けなどによる人馴れだとしています。また、オオカミは狂犬病に罹りますが、決して保菌者ではありません。だからオオカミは保菌動物から狂犬病をうつされない限り狂犬病を広めるという心配はないこと、そして、同じくらいの大きさの捕食者と比べたら、ほとんど人を攻撃することはないことも指摘しています。
 環境省が、この論文を根拠に回答しているのであれば、オオカミの人々に対する不安は問題ではないと言うべきなのです。欧米のオオカミ研究者を初めとして多くの人たちは、この報告や現実の状況から、オオカミが危険でないことを理解し納得しています。こうしたオオカミについての事実は世界のオオカミ研究者のほとんどが認めているところです。オオカミが危険な動物だと断定するのは明らかに適切な表現ではありません。にもかかわらず、環境省はじめ少なからぬ人たちは、どうして人々の安全に対する不安を問題にするのでしょうか? それは、歴史学者が事実確認や状況検証をしないまま伝承の類を探し出しては鵜呑みにして世に広めてきたこと、オオカミの習性や行動、生態に無知であったがために、餌付や犬との雑種を作り出しては持て余し、野犬化してきたこと、事実を歪曲してオオカミを危険動物として宣伝してきたことなどが挙げられます。環境省の見解はこうした時代遅れの非科学的なものなのです。環境省の円卓会議に集まったメンバーや、行政官、国会議員、関係団体の代表、並びに学者研究者など有識者と云われる諸氏も同様です、事務当局の説明を鵜呑みにしているのだろうと考えられます。学識経験者、有識者の皆様には、しっかりとオオカミの真実を語ってもらいたいものです。

〇真実は信頼できる情報から

 環境省は、オオカミが危険動物だと言います。その根拠を訊ねると、「アメリカでは狩猟圧のない地域に生息するオオカミは人を襲いやすくなるとの報告がある」とのこと。さらにその根拠を訊ねると、「ワシントンウルフインフォ」と称するHPに記載されているMcNay, M. E.(2002)” A case history of wolf-human encounters in Alaska and Canada” Alaska Department of Fish and Wildlife Technical Bulletin 13からの引用との回答です。しかし、原著にそのような記載は見つかりません。そこで、原著の引用箇所のページなどを再度問い合わせたのですが回答はありませんでした。環境省は原著を読むことなく、アメリカの一サイトにある都合のよい記述を鵜呑みにして紹介していたのではないかと思われるのです。
 さらに、「ワシントンウルフインフォ」にはこのサイトの掲示団体に関する情報がなかったため、環境省にどのような団体なのかを訊ねたところ、メールでのやりとりではなく、直接電話で問い合わせてほしいとの答えが返ってきました。どうしてメイルでのやり取りを電話に切り替えようとするのでしょうか、この事情はよく分かりませんでした。その後、こちらで調べたところ、このホームページは、オオカミが増えるとシカなどの狩猟動物が確実に少なくなるため、オオカミの復活を好ましくないと考える狩猟団体などによる、一見中立を装った偽装サイトだということがわかりました。

〇環境行政は正しい情報の収集と正しい判断を!

 世界にはオオカミに関する多数のHPが存在します。ですから、自分たちの主張に合った、都合のよいサイトではなく、科学的に信頼できるものを探して情報を採るべきです。また、原著に当たるべきことを厭ってはならないことも当たり前のことです。アメリカには、連邦、州、国立公園といった行政、各種民間団体、大学などの研究機関など多くのサイトがあり、科学的な研究報告からいろいろな行政の審議会、専門委員会の議事録に至るまで閲覧することが可能です。環境省は、日本の野生生物、自然生態系の保全を国民から信託されているのですから、間違った情報ではなく、正しい情報を集めて国民に提供する責務があります。科学的で公正な情報の収集を怠らないよう求めたいものです。
 しかし、環境省は、オオカミがシカ、イノシシなどを減少させることを十分認識している可能性もあります。この場合、オオカミ復活が狩猟振興とジビエ普及による政策と相いれないと不安に思っているのではないでしょうか。オオカミ復活運動の最も大きな障害は、“オオカミは人を襲う危険な動物”と子供のころから刷り込まれた間違った恐怖心なのです。環境行政は、オオカミが危険動物ではないという事実に国民が気が付くと都合が悪いので、オオカミに対する恐怖心を煽っているのではないかと考えたくなります。イノシシ、クマ、イヌ、ハンター等に比べてオオカミのどこが危険だというのでしょうか。今年に入り、各地でイノシシ、クマの襲撃による死傷事故が何件も起きています。自然を調節するオオカミ抜きで生物多様性も生態系も守れません。オオカミは普通人を襲うことはないのです。
 私たちは環境省に対して陳情を繰り返し行ってきましたが、お互いの理解は進んでいません。同省は議論を避けることによってオオカミ復活を無視し続けているように見えます。しかし、こんなことをしている間にも、シカやイノシシは増え続け、自然生態系や産業と生活に被害を出し続けているのです。自然生態系の破壊は取り返しがつかない事態に発展しつつあります。真実から目を逸らし、目先の面子や利害に捕らわれていては国民の財産である自然生態系の保全を全うすることはできません。

(O-net)

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オオカミ無視の自然保護行政: 欧米のオオカミ情報を集めようとしない環境省!!

2015 年 2 月 17 日 火曜日


オオカミ無視の自然保護行政:
欧米のオオカミ情報を集めようとしない環境省!!

朝日新聞GLOBE2015年2月1日(日曜版)記事
「シカ激増で変わる保護のあり方」を読んで

 
朝日新聞GLOBE2015年2月1日(日曜版)記事「シカ激増で変わる保護のあり方」を見て驚いた。【日本の環境省の鳥獣保護業務室は「外来種のオオカミには未知の点が多く、導入は現実的でない」とみている】とある。「そんな、とんでもない」!との思いから、2月6日、コメントを出した鳥獣保護業務室に電話をかけてみた。その回答の要点は以下のとおりである。

【1】「外来種」の環境省の定義は、同種、異種にかかわらず国境を越えて移住してくる、あるいは運び込まれる生物種との回答。北海道に生息していたエゾオオカミも北海道以外の日本列島に生息していたニホンオオカミもハイイロオオカミと同種であることが証明されたが、やはり外国から導入されればハイイロオオカミも「外来種」となる。となると、既に野生化して自己繁殖しているトキやコウノトリの扱いが問題となる。両種も外来種であることに違いない。もっとも、外来種でもケースによって扱いが異なるというのであれば問題はない。そういえば、かなり以前になるが、同室の担当官の見解として、トキやコウノトリは自力で飛来する可能性があるから再導入は問題ないが、オオカミは自力で渡来できないから再導入は認められないという回答があった。どうも苦しい言い訳にしか聞こえない。

【2】ニホンオオカミは固有種ではなくて、エゾオオカミと同じように大陸に広く分布するハイイロオオカミと異ならないというDNA分析の報告(石黒直隆教授、岐阜大学)は読んでいないとのこと(昨年、同じ朝日新聞が報じている)。このような重要な輪文を読んでいないとは驚きだ。環境省は少なくともオオカミに関しては、もともと真偽が危ぶまれていた、時代遅れの形体分類学レベルにかじりついていて平気なのだ。

【3】「外来種のオオカミに関して未知の点が多い」という記事の記載に関して:「未知の点」と言ったのではなく、「わからない点」と言ったのだと言う。ここではどちらでもよい。「外来種」であれば「わからない点」が多いと決まり文句のように言いたいのだろうか。欧米のハイイロオオカミに関する調査研究は生態をはじめとして幅広い分野をカバーしており、研究論文はたいへん多い。最近ではインターネットを通じて、行政刊行物も手軽に入手できる。しかし、回答では、欧州のものはまったくみていないということであった。北米のものも読んでいるのかどうか曖昧であった。これにはまたまた驚いた。これでは「外来種としてのハイイロオオカミについてはわからない点が多い」となるのは当然である。あきれて、開いた口が塞がらない。このような無いに等しい情報で「導入は現実的でない」はないだろう。

 昨春、衆議院環境委員会で「オオカミ再導入」に関する質疑が行われた。国会始まってはじめての「オオカミ論議」で画期的であったと評価されるが、このような無知な官僚が恥ずかしげも無く、ぬけぬけと事実とは無縁な答弁しているというのが現実なのである。与野党の国会議員は、低レベルの不勉強な大臣や官僚たちを相手にしているのだということを認識してもらいたい。このような無知な官僚が「オオカミは検討するな」と地方行政に指示しているのである。だから地方行政はいつまでたっても動こうとしないし、動けない。地方自治の無視もはなはだしい。このような官僚たちによって、日本の自然は破壊され続けている。国民はもっと怒ってもよい。必要な情報をいち早く収集分析し国民に判断の材料として提供する。そして国民の求めるものを実現する。これが行政の役割であるはずである。優秀なはずの官僚がこうした無知無神経な発言を続けて平然としていられるのは異常だ。この背景には何があるのだろうか。

[朝日GLOBE2015年2月1日(日曜版)記事コメント2015年2月9日]                               

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鹿の食害を考える ドイツに見るオオカミとの共生

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(動物や自然を守ろう にて)

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