アンケート調査の現場から:オオカミ復活、深まる市民の理解!

      シカのヌタ場(環境省)

よいのか、行政、研究者、自然保護運動家の思考停止

日本オオカミ協会では、設立した1993年度から“オオカミに対する日本人の意識調査”をほぼ3年に1度、全国各地の会員が継続して実施しています。不肖私も鎌倉のハイキングコースと、藤沢の地域のお祭りの会場で、「アンケートに協力していただけますか?」と声をかけ、「なんのアンケートですか?」と聞かれた人に「オオカミ再導入についてお尋ねしています」と答え、調査をお願いしました。(約60人)

 

ハイキングコースでは「急いでいますので」と断る人のほかは、好意的にアンケートに協力していただけ、「エッツ!オオカミ!?」というびっくり反応は極めて少なくなった印象を受けました。お祭りの会場でも同じ印象で、協力的に興味を持って応じてくれる人が多いと感じました。答えは、もちろん自由にいただきましたが、回答をいただいたあと、オオカミ再導入の説明を行い、「わからない」「必要でない」と書かれた人に理解をしていただけるように努めました。その結果がアンケートに反映されれば、「必要です」との回答はずっと多くなったはずです。

    シカ掘りおこし(環境省)

私のつたない説明に「気の遠くなるような話だな」と驚く人。「本当かどうか今分からないので、自分なりに情報を集めて判断したい」という人には、協会のホームページをおすすめしました。しかしいずれも真摯に聞いてもらえました。
オオカミについて、田舎で祖父母から話を聞いたことがあるという人。尾瀬をはじめ、多くの貴重な自然がシカの食害でひどい状況になっていることに驚き、どうしたらよいのだろうと考える人。「生態系にオオカミがいるのは当然ですよね」と普通に答え、いろいろ質問をされる人などなど。私たちの活動がオオカミについての認識を少しずつ変えているのは間違いありません。また、賛成反対を問わず、真剣に相手の話を聞いて議論できる状況になっているものと確信しました。
自然も人の心も、状況は大きく変わっているのに、行政や研究者、自然保護関係者はまだオオカミという言葉を封印し、口に出そうとしていません。調査を終えて「エエッツ!!なぜなの!?」と私は考え込みました。

(井上 守 2012年9月24日)

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