最新情報 « 一般社団法人日本オオカミ協会

高山帯と高層湿原にシカはミスマッチ? 高槻先生、お考えが逆さまではありませんか?

2012 年 2 月 7 日 by morinaga

「私たちの自然1・2月号」掲載の「シカと高山」(p.24-26)を見て驚きました。この記事は、生態学者の高槻成紀教授(麻布大学)による随筆です。

シカによる植生への大きな影響が写真入で紹介されていましたが、今や、これは全国的にお馴染みの事実ですから、今更驚くまでもありません。2年前のウイリアム・ソウルゼンバーグ著「捕食者なき世界」(文藝春秋2010)での解説では、「オオカミがいなくなったせいでシカが増えたのであれば、約100年間増えなかったことをどう説明するのか。諸説あるが明快な決定打はない」とお書きになっていましたが、今回は、シカやイノシシ、サルの最近の激増が農山村の衰退による狩猟圧の減少によるものだとはっきりと指摘されていて、教授の認識が進んだことがわかります。

実は、驚かされたのは、「高山帯と高層湿原にシカはミスマッチ」という記述です。これの論拠は「バイオーム(生物共同体)」だとか。「私は今でも有効な概念だと考えている」とおっしゃるのは勝手ですが、お考えの筋道が逆さまではありませんか。というのは、いろいろな生物種の分布がたまたま重なり合っている状況を地理的に切り取ったのがバイオームだとすれば、バイオームがあって、そこに所属する種が決まるのではなく、生物がいてバイオームが認識されるということになると考えているからです。とすれば、高山帯や高層湿原にはシカはミスマッチとそこに第三者の人間が勝手な解釈を持ちこんで、それゆえに排除すべきという論理はあまりにもご都合的、独善的。バイオーム論からみて論理的に成り立たないのではないかと考えられるのです。

たとえば、高山帯にシカが生息するようになったからといって、それだけでは問題はないはずなのです。生きものがそこにいるのは、それなりの事情がある。その事情を考えてあげるのが生態学者の仕事と思っていましたが、事情を考慮せずに、「ここは君にはふさわしくない」とおっしゃられていますよね。シカは高山帯のバイオームのメンバーではないから排除せよというのは、目的ありきではありませんか。これとは別に、生態系のシカの増えすぎによる現状が問題なのです。これは何も高山や高層湿原に限ったことではありません。それは、シカの個体数の変動を抑制する働きが生態系に欠けているからなのです。教授のよくご存知のはずの、頂点捕食者オオカミが欠けているのであり、シカとオオカミを結ぶ食物連鎖が壊れているのです。それは、高山帯や高層湿原のバイオームにもとから欠けていたのかというとそうではなく、人の愚かな仕業であることもよく承知されておいでのはずです。オオカミを口にしたくなかったばかりに、いわば逆立ちのバイオーム論をお考えになったのではありませんか。教授がバイオーム論の提唱者と紹介しているクレメンツとシェルフォードもそんな具合に考えていたのでしょうか。

高山や高層湿原にシカもオオカミもともに生息するならば、バイオームのバランスも取れることでしょうし、何よりも生物多様性が高くなります。生態学の教授は生態学の理論に忠実であるべきだと思います。何を恐れて、あるいは何に媚びて変な解説をお書きになったのか、素人でさえ勘繰りたくなります。 (守)

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経済倶楽部講演録 2011.11 に「オオカミの復活」が取り上げれらました

2012 年 1 月 23 日 by morinaga

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毎日新聞の地方紙に「オオカミ復活」が取り上げられました(2)

2012 年 1 月 23 日 by morinaga

信州・取材前線:研究者らの協会、オオカミ復活を提言(その2止)
明治に捕殺し
絶滅 専門家「管理は困難」 /長野

 ■米で植生回復も

 イヌ科のオオカミはユーラシア大陸や北米大陸など北半球に広く分布する。普通は
ハイイロオオカミ(タイリクオオカミ)1種を指し、生息地によって亜種に分かれ
る。

 絶滅したニホンオオカミは別種とする意見もあるが、ハイイロオオカミの亜種とす
る見方が有力で、北海道にいたエゾオオカミも亜種とされる。

 環境省のレッドデータブックによると、ニホンオオカミは日本固有亜種で絶滅種。
1905(明治38)年に奈良県で捕獲された雄を最後に記録がない。絶滅原因は狂
犬病の流行に伴う捕殺の奨励、開発や狩猟による餌動物の減少などが指摘されてい
る。エゾオオカミも駆除により1900年ごろを境に激減したとされ、絶滅種。

 県内でも江戸時代の古文書などから、ニホンオオカミが生息していたとされる。

 オオカミ再導入は、国外で米国のイエローストン国立公園に事例がある。1940
年代に駆除によりオオカミが姿を消し、シカ類が増加。食害で公園の植生が損なわれ
たため、94~95年にカナダから31頭を導入。その後は順調に増えて公園周辺に
も分布を広げ、03年には公園内で推定174頭に増加。植生も回復したという。

 国内では、北海道斜里町が知床国立公園の森林生態系を再生するトラスト運動でオ
オカミやカワウソの復活を目指している。ただ、これまでの専門家の検討では、オオ
カミは導入後の分布拡大による個体管理の困難さや、家畜の被害補償などの問題があ
り、町は「長い目で取り組む課題」とする。

 獣害に悩む大分県豊後大野市の橋本祐輔市長が再導入を検討している。オオカミ復
活には、関係機関の合意や地域住民の理解、法的手続き面も含め、多くのハードルが
ある。

毎日新聞 2012年1月21日 地方版
http://mainichi.jp/area/nagano/news/20120121ddlk20040042000c.html

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