【謝辞】 連続シンポジウム「ドイツに見るオオカミとの共生」を終えて

一般社団法人 日本オオカミ協会会長 丸山直樹

多数の皆様のご支援により、10月3日に始まった、札幌・帯広・釧路・東京・松本・山梨富士川における6回の連続シンポジウム「ドイツに見るオオカミとの共生」をめでたく成功させることができました。ドイツからの招聘レポーター、マグナス・ヴェッセル氏(ドイツ自然・生物多様性保護連合)による同国はじめ欧州でのオオカミとの共生の様子の紹介は、オオカミを過剰に恐れる「赤頭巾ちゃん症候群」治癒に効果があったことがしっかりと感じられました。「オオカミが怖くないなら早く再導入しよう」。シンポ後に聞かれた声からもわかります。

「自然があって人間がある。自然を保ってくれるのがオオカミ。聖なる動物の復活の懸け橋になれれば。」 この名言の主、横綱白鵬関の東京会場出現(?)は、参加者を驚かせました。横綱のオオカミへの熱い想いと故郷モンゴルでの人々とオオカミとの共存談の披露は、人々のオオカミへの親しみを増す効果がありました。松本会場では長野県議永井一雄氏に地域情報をご報告いただきました。オオカミ復活は、地域に根を置いたものでなければならないし、地域情報と地域住民の考え方を飛び越えることはできません。

今回の連続シンポでの参加者は各会場とも予想を上回り、オオカミ復活と獣害解決に関する多くの人々の関心の強さが改めて実感されました。また、この参加者だけでなく、報道を通じて、多くの人々にオオカミの重要性を気づいていただいたことが考えられます。参加できなかった人々からも賛同の声が届けられ、シンポの波及効果が予想以上のものであったと驚いています。

絶滅したオオカミの再導入を目指して日本オオカミ協会が産声を上げたのは1993年のことです。以来18年が経ちました。今回のような大きなイベントに挑戦し、当初遥かに感じられた目標が手近に感じられるのは大きな励みです。

もう一つ、私たちがこのイベントで学んだことは、シンポは私たちの提案を国民の理解と合意を得る有力な手段だということです。大小のシンポや対話集会、講演会、セミナーの全国各地での挙行が大切であることを確認できました。これらなくして、私たちの運動はありえないと言っても良いでしょう。

今回の連続シンポの成功は、多面にわたってお世話になりました地域の有志や住民、議員、開催地各地の地域自治体などの行政、多くの企業および自然保護団体、そして日本オオカミ協会の会員のご理解とご支援の賜物です。それに快く専門家派遣を承知していただいたドイツ自然・生物多様性保護連合のご理解がありました。ドイツ大使館、日本高山植物保護協会、日本生態系協会、写真家白簱史朗・山岳写真の会「白い峰」には後援していただきました。資金は協賛企業および当協会会員から御寄付いただきました。改めて心より御礼申し上げます。

連続シンポは実は二部建です。前半部の今回の開催地は東日本でしたが、2012年、後半部は、同じくオオカミを待ち望んでいる関西、四国、九州、中国の西日本の各地で、再びベッセル氏を招聘し、同様の連続シンポを開催すべく準備を進めています。オオカミ復活実現のために、シンポ成功を目指して、再び、皆様の強力なご支援をお願いします。



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