環境大臣宛に 「ハイイロオオカミ復活の生物多様性国家戦略への位置づけ」を提言!

7月3日(火)同省自然環境局鳥獣保護業務室室長補佐永野徹氏、同鳥獣保護管理企画官 堀内洋氏へ森谷允顧問が提出。

4月下旬のオオカミ復活署名提出後、同局のオオカミ復活 への対応は「国策として取り上げられない(2011年秋)」から「勉強中」へと変わりまし た。今回は具体的に「地域的合意形成」「復活後の想定事態への対応」が関心事として 出てきました。JWAのHPはよく見ているとのこと。

JWAでも調査研究を強化して、南北中央 アルプスなどの重点地域での合意形成とHPの一層の充実を目指します。

◇環境省、生物多様性国家戦略改訂にあたりパブリックコメントを募集中:
平成24年7月6日(金)~8月5日(日)(必着)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15444

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環境大臣 細野 豪志 様

ハイイロオオカミ復活の生物多様性国家戦略への位置づけ(提言)

[提言]

頂点捕食者ハイイロオオカミ絶滅は、今日のニホンジカの増えすぎと全国的な生態系の破壊を招き、生物多様性を限りなく低下させています。ゆえに、豊かで美しい国土の保全と子孫への継承のためには、これを放置し続けることは許されず、今回の改訂版生物多様性国家戦略へのハイイロオオカミをはじめとした絶滅種復活を盛り込むことを提言します。

なお、この提言に関してご回答いただきますようお願い申し上げます。

[説明]

日本は明治以前まで生息していたオオカミを駆除し、絶滅に追いやりました。頂点捕食者オオカミを失ったことで、シカをはじめとする草食動物の個体数を自然調節する健全な食物連鎖が崩壊してしまいました。シカの個体数密度の急増により、奥山から中山間地に至るまで、森林は枯れ果て、シカの食べない植物だけが繁茂しています。森林が枯れた土地では、鳥類、昆虫類の多様性も失われ、土砂の流出により河川、漁場の生態系にも悪影響が及んでいます。

明治以降、こうした森林の食害を何とか防いできたハンターは、高齢化し、絶滅寸前です。各地方の自治体で様々な取り組みが行われてきましたが、未だ、シカ、イノシシ、サルなどの獣害を防ぐ有効な対策はありません。

現況のような生態系の不均衡を生み、生物多様性を年々貧困にしているのは、健全な食物連鎖の生態系を司る、頂点捕食者オオカミの不在によるものです。人間の開発によって絶滅した動物種はみな同様に尊い存在ですが、食物連鎖の頂点に立つオオカミの不在は甚だしい生態系の不均衡を招き、農林水産業を営む人間の生活に与える被害は甚大です。

米国では1973年に絶滅危惧種保護法(ESA)、欧州では1979年にベルン条約として、また中国では1998年の生態旅遊年を契機に、オオカミの復活と保護を始めています。今や、生物多様性におけるオオカミの生態的な重要性は世界的潮流として認識されるようになっています。

自然共生社会の実現に向けた具体的戦略として策定をすすめている、生物多様性国家戦略の見直しにおいて、トキと同様に、日本で絶滅に追いやった、頂点捕食者ハイイロオオカミの復活とその保護を付加することなしに、真の意味で自然共生社会を実現する方法はありません。

                                                                                         以上

 

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