拝啓 産経抄コラム氏様、その表現は報道の差別です

産経抄(2013/3/31)に「なんでも危険を連呼するオオカミ学者もまた
国民の役に立たない」との表現があるのを見てびっくりしました。私たちは、一般
社団法人日本オオカミ協会というオオカミ学者を中心にオオカミの復活運動を、ト
キやコウノトリの野生復帰と同じように、20年以上にわたり取り組んでいる団体
です。私たちは、この表現を読んだとき、私たちの活動が役に立たないと言われて
いるのかとびっくりしました。しかし、コラム氏には私たちの活動が全く知られて
いないのではないかと気付いてがっくりし、また、「オオカミ」ということばの用
法は、このような使い方ばかり多いことにがっかりしています。

私たちの活動を妨げるものに、「オカオミは恐ろしい」という国民の間違ったオ
オカミ観があります。コラム氏のような大新聞の偉いジャーナリストが、オオカミ
はやたらに噛み付く危険な役に立たない動物と決めつけ、誤解偏見の目で見て、間違ったオオカミ観を社会に発信されているのでは国民が誤解するのも無理からぬことですよ。このような喩えは、私たちとオオカミに対する報道機関の差別です。あらゆる報道を通して、オオカミはやたらに噛み付く危険な動物ではないという正しい情報を伝えてください。

私たち日本人は、1世紀前にオオカミを危険な蛮獣と決めつけ絶滅に追い込んだ結果、捕食者がいない歪んだ奇妙な生態系を作り出し、その結果シカ、イノシシの増え過ぎによる自然生態系の未来永劫にわたる破壊が始まっています。絶滅させた種の復活は日本人の責務であり、オオカミは自然生態系と生物多様性、国土の保全のためになければならない動物です。

コラム氏には、私たちの活動を知っていただくとともに、オオカミのいない生態
系の危険を連呼しているオオカミ学者という存在があることもご理解いただきたく
資料を添えてご連絡する次第です。

敬具

(井上 守)

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