オオカミ復活に背を向ける朝日新聞の偏向記事:子どもには正しい知識を

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朝日新聞の子ども向け解説記事「(ニュースがわからん!)エゾシカの農林業被害深刻なんだってね」(2013/9/18付け)に、エゾシカの急増とその被害、原因、対策について解説されていました。エゾシカの急増は「天敵のオオカミの絶滅も影響したのかな?」という問いに対する回答は、

「それよりも、温暖化の影響のほうが大きいとされている。雪が減り、冬もエサに困らなくなって、『自然死』が減ったんだ。雪深かった日本海側もすみやすくなり、北海道全域に生息域が広がった。北海道以外でも野生ジカが増加していて、環境省によると、11年度には推定で261万頭のニホンジカが生息、89年度の9倍に増えたんだ」。

オオカミ絶滅の影響は否定され、対策は、ジビエで「厄介者をおいしく退治」と提案されています。オオカミはシカ頭数を減らすのに役立たない。役に立たないオオカミの復活は無意味で検討に値しない。だからハンターによる捕獲管理の継続が不可欠という環境省の対策を繰り返しているだけです。

北海道では、多くのオオカミが生息していました。オオカミは他の生物たちと調和し、景観を作り、守り続けてきた動物でした。しかし、明治時代中頃のシカの乱獲と豪雪による激減、それに害獣の烙印を押されて駆除され続け、絶滅に追い込まれたのです。

タンチョウなど希少動植物の減少や絶滅が進んでいるにもかかわらず、オオカミを食物連鎖の頂点に置く生態系の復活を説こうとしないのは解せません。守旧的な野生生物行政を批判的にみようとせず、行政の見解をただなぞるだけで、オオカミ復活に触れることを避けようとする朝日新聞の論調には首をかしげざるを得ません

 

(井上 守)

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