声明:「太陽光発電所の山地及び森林での建設に反対する!」

メガソーラー

[JWA声明メガソーラー反対2021年8月]

山地の森林原野を切り開いて建設する太陽光発電所の建設に反対する。

 太陽光発電所は建設面積が大きくなるほど、森林など植生を破壊する面積が大きくなり、その分、温暖化ガスの自然吸収源が失われる。発電に伴う温暖化ガスの排出量は少ないが、発電パネルなど必要機材の生産に当たっては、有毒物質の排出と同時に莫大な電力消費を必要とする。この電力を安価に賄うために、海外の石炭火力発電に依存し、全体的には太陽光発電による温暖化ガスの低減は期待外れであることが指摘されている。また、この生産コスト低減は特定民族の非人道的、略奪的な奴隷労働にもとづいているとの指摘もある。太陽光発電事業者は、その建設の社会的意義を意識することなく、利己的な金銭的利益を優先していることが指摘されている。

 これにとどまらず、この発電所の建設による自然環境の破壊は甚大である。すなわち、森林などの植生の破壊は、多くの生物から生息環境を奪い、絶滅を促進する。さらには、発電パネルなどの構築施設で山地を覆うことにより、広大な地域が無機的な環境に変えられ、この反生物的環境の出現によって山地生態系が有する雨水の土壌吸収能力が損なわれることにより、降水を一気に流出させ、山地崩壊、土石流、洪水などの山地災害を作り出す。これらの流出土砂により沿岸海域生態系の劣化が進む。また、森林植生が有する気候緩和機能を損なうことにより、防風、大気の湿度および気温調節など、地域の微気候調節作用を破壊する。このように、太陽光発電所建設は、自然生態系だけでなく、人々の生活および生産環境を大きく破壊するだけでなく、さらに、その自然景観を甚だしく損ない、国土の景観美を著しく損なう。これは観光産業に甚大な損害をもたらす。

 山地森林原野での太陽光発電所の建設は、地球温暖化ガス排出抑制には効果が薄く、かえって生物多様性保全およびSDGs(持続的開発目標)といった国際的、国家的な環境保全活動の達成を妨げるものであり、現実は太陽光発電の本来の目的から大きく外れている。

 ちなみに2020年、現存するソーラー発電所の面積は230平方キロメートル以上、東京の山手線の内側の面積の3.6倍ほどにもなり、広大である。にもかかわらず、政府は2030年までにこの規模を現在の6倍以上に拡大すること目指しているのは暴挙である。これを看過放置することはできない。

 このようなソーラー発電所の建設が自然生態系へ及ぼす破壊的影響は、増え過ぎたニホンジカが及ぼす植生破壊、山地崩壊と極めて類似し、今後実現すべきオオカミの復活による生態系の回復保全の努力を無に帰する可能性が大である。一社日本オオカミ協会の活動目標と完全に対立するものであり、当協会としては森林原野での太陽光発電所の建設に反対するとともに、既存の発電所の撤去と原状回復を求める。

 しかしながら、国土自然生態系に負の影響を及ぼさない環境であるならば、太陽光発電所の建設に反対するものではなく、温暖化ガス排出の完全防止に向けてむしろ建設は推奨されるべきものと考えられる。

 以上の理由から、山地および森林原野での太陽光発電所の建設は、その規模に関わらず禁止すべきである。それ以外の立地にあっても、その建設は環境保全に厳に留意し、住民合意を前提とすべきである。太陽光発電所に関して、政府、環境省、通商産業省、農林水産省、地方自治体などの関係行政の適切な対応を求める。同時に、自然保護および農林団体などの関係団体の関心強化と具体的な活動を期待する。(完)

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