伊吹山で発生した土砂災害と環境行政

鹿の食害

伊吹山で土石流発生 麓の人家被災!
原因は増えすぎたシカの食害と行政の無策
主要各紙、一斉に報道

図1.崩壊で登山道閉鎖
図2. 2024年7月、土石流発生。麓の人家被災。

滋賀県と岐阜県の県境にある伊吹山(標高1377メートル)は、山頂付近に石灰岩が多く、冬寒冷な強い風が吹くために、地質、気候条件から樹木が育ちにくく、山地草原が広がっています。平安時代、朝廷に薬草が献上され、16世紀には薬草園が作られました。滋賀県に生育する植物約2300種のうち1300種が生育しています。2003年に80ヘクタールが国天然記念物に指定されたが、2008年ころからシカ食害が見られるようになりました。

現在約600頭のシカが生息しています。ワナによる捕獲を進めるが警戒心を持つシカが増えた。設置された柵は、シカに執ように破られ、補修と柵内部に入ったシカの追い出しが繰り返されています。一度諦めると草花が全滅することになります。ワナの増設は人出不足で今が精一杯の状況です。柵外では、食害で裸地化が進み保水力が弱まっています。

昨年2023年4~8合目の複数個所で崩壊が起き登山道が閉鎖されました(図1)。今年2024年、西側山麓の伊吹地区で土石流が発生、人家に及ぶ災害が起きました(図2)。

被害発生の原因は、シカ食害を食い止めることができず、食害を大きくしている無策なシカ対策にあるといえます。環境省とそれに与する地方行政の無為無策が真の原因です。土石流が発生した米原市、滋賀県は、シカ食害が原因と発表しましたが、これまで環境省に忖度して温暖化、異常気象、大雨等を口実に中途半端な対策を続けてきたのではないだろうか。シカをコントロールして生態系の安定を回復させるためには捕食者オオカミの復活が不可欠です。オオカミの再導入の緊急な実現を求めます。偏見に凝り固まった環境行政の異常さに気が付いてほしいと思います。(井上守)

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