ベルン条約におけるオオカミの保護基準緩和に反対する署名依頼
11月8日、熊野の森オオカミみゅーじあむにスイスのギャリフレイ財団(※注1)の共同設立者であるアントワネット・ヴェルミリエさんが訪ねてこられました。たまたま旅行中に立ち寄られたようですが、その時にヨーロッパのオオカミの保護についてのオンライン署名に協力して欲しいとの申し出がありました。
EU加盟国でオオカミが保護される根拠となっている国際条約であるベルン協定の内容が今年の9月26日に見直され、オオカミの保護の基準を付属書2「厳しく保護される動物種」から付属書3「保護される動物種」に移す提案がなされました(※注2)。理由としては2023までの10年間でヨーロッパのオオカミ推定生息数が2万300頭に倍増した事、毎年6万5500頭の家畜がオオカミに捕食されていることなどが挙げられています。
一方でこの提案が通れば、これまでEU加盟国で禁止されていたオオカミの狩猟が解禁となります。繁殖地の破壊や繁殖期の意図的なかく乱の禁止も廃止されます。署名呼びかけ人は地域個体群の定着状況にもばらつきがあることや、オオカミを含む生態学的空間が広く回復していないことなどを訴えています。詳しくは署名サイト(※注3)をご覧ください。1ページ目の下部の「次へ」ボタンを押すとより詳しい情報が見られます。英文ですがグーグルのページ翻訳などで日本語に翻訳できます。署名呼びかけ人は世界自然保護連合(IUCN)の生態系管理委員会委員を含む専門家、環境法弁護士など4人です。
ヨーロッパでの人とオオカミとの共存は日本でのオオカミ復活や人との共存の先行事例となるものです。オオカミとの共存はそれが実現した後も努力が必用だということが分かります。署名対象者は科学者とされていますが、それ以上の条件はありません。オオカミ協会としてこの署名に賛同するかどうか皆様のご意見をお寄せください。署名期限は11月30日までです。
※注1:https://gallifrey.foundation/
※注3:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSer-tJUwiYqyHsvFYdBnKH0TCPwCm02qVmAEPtDgTuejbTbRA/viewform
記:大槻国彦