環境省が進める捕獲強化によるシカ半減計画の失敗とオオカミ再導入
現在、環境省により進められているシカ個体数管理計画の推移は環境省資料によると次のように説明されます。(下記図参照)
① 1989年度から2011年度にかけてシカは8倍以上増え、2023年度には400万頭以上にまで増加することが予測されました。
② 環境省と農水省は2013年度に共同で「抜本的な鳥獣捕獲強化」対策を策定し、狩猟を強化して2011年度を基準年に2023年度に生息数を半減する計画が立てられました。捕獲強化により2014年度をピークに減少傾向が継続されていると考えられましたが、依然として高水準で推移していました。
③ 捕獲強化にもかかわらず、目標の2023年度は2011年度の287万頭から303万頭へと5.6%増加していました。半減目標達成は2028年度(北海道は2031年度)に延期され引き続き捕獲強化が進められることとされました。
シカ増加を抑えることができない管理計画は明らかに失敗でした。NHKニュースによると、北海道では2012年度から目標数を定めて捕獲に努めてきましたが、2024年度までの13年間で目標が達成されたのは2012、2017年度の2回のみで、2024年度は捕獲目標18.5万頭に対して捕獲数は15.7万頭でした。半数削減目標に対し道有識者会議等で、目標は現実的でない、増える前提で検討すべき、柵の設置で被害防止に努めるべき等の意見が出されているとのことです。北海道は、環境保全や地域活性化を助け狩猟振興に大きく貢献するとされるジビエの利用率が全国トップで、今後の拡大も予測されています。しかし、捕獲に当たる猟友会メンバーが高齢化し人手が足りず、捕獲数を増やすことは全く困難な状況です。そして狩猟者の減少は、人口減少と都市集中による地方人口の減少・過疎化により避けることができない全国共通の問題です。
ところで私たちが提唱しているオオカミ再導入は、「一見もっとも」「教科書通り」だが「実情は困難」「実行はムリ」「考えはわかりますけど、日本ではタイリクオオカミみたいな“大型の狼”を放すのは、無理なんとちがいまっか」(2011河合雅雄)等と揶揄され、ありもしない人身被害が起きた場合の責任を口実に行政は何もしません。問題解決の切り札として機会あるごとに訴え続けなければいけません。(井上守)

