櫛形山 – シカの食害で崩壊した植生

8月6日(月)雨のち曇り

池の平茶屋登山口までの林道が一部改修工事のため、駐車場手前1.5kmの臨時駐車場に車を止めて、重機が唸る林道を歩くことになったが、作業の人は親切で仕事を止めて私たちを通してくれた。

この山の名は、女性の櫛を伏せた形に似ているためというが、雨天のために見られなかった。臨時駐車場は標高約1800m、最高点の櫛形山は2053m、裸山2003m、アヤメ平が1900m。平坦な往復約10kmのコースである。

登山口周辺で目に入ったのはマルバタケフキ。田中澄江の花の100名山の一つだが、登山道に入っても、目に入るのはシカが嫌う橙色のこの花ばかりで、所々にシモツケソウがあった。山頂への道は静かで荒れていない。大きなダケカンバ、ツガのある幽玄な霧と雨の中の原生林でサルオガセが絡まる木々が神秘的な感じだ。2頭のシカ以外1日誰とも合わず、ホトトギス、ウグイスの鳴き声を聞いた。しかし、足元の下層植生はほとんど消滅した場所や、ササやシダの群落が完全に枯れた跡、樹皮を剥かれたり、傷つけられた木々が散見される。下層に若い木が育たず命の再生がないゆっくり死に至る森であることを知ると悲しい。

ところで、国土地理院の地形図には2051.7mの三角点があるところに櫛形山と記されているが、狭い山頂には山名の表示はなく、約500m北に櫛形山2053mの標柱が立っている。この付近から一帯がアヤメの群生が有名だったのだろうが、今は、ただの草原で部分的にシカ防護柵が設置され、その中で植生の回復が試みられ、何色もの花が咲くが、一度乾燥した土壌に湿性のアヤメが復活するのは大変時間がかかるのではないだろうか。

往路を下り、平林の集落まで林道をドライブ中、サルが道を横切った。集落で登り窯がある工房を見かけて訪ねてみた。会話の中で「オオカミの導入を進める会の会員で・・・」と言うと、「サル、シカの被害が酷く、早くオオカミの復活を実現して欲しい」と激励された。

(参加者)井上守、ほか1名

(参考タイム)臨時駐車場09:15〜池の平登山口10:00〜櫛形山11:00〜アヤメ平11:40〜裸山12:00〜(往路下山)登山口15:00

10年前のアヤメ平

10年前のアヤメ平

現在のアヤメ平

現在のアヤメ平

 

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