WOLF LETTER #2

熊野の森オオカミみゅーじあむ通信

【アジア・リワイルディング・フォーラム】

2024年9月26日に韓国・ソウルの梨花女子大学で開催されたAsian Rewilding forum (主催・同学内生物多様性財団)で、日本オオカミ協会丸山直樹会長の代理としてオオカミみゅーじあむ館長の大槻が日本へのオオカミ再導入をめぐる現状と課題について講演を行いました。実現すれば日本で初めての本格的なRewilding事例となるオオカミ再導入に向けての当協会の活動には高い関心が寄せられました。

【オオカミの森 in 大阪・東京】

オオカミに魅せられたクリエーターたちの作品を展示販売するイベント第2回・第3回「オオカミの森」(主催・株式会社TSURATSURA)に協賛・出品しました。2024年7月に大阪・阪神梅田本店、11月に東京・西武渋谷店と大阪・レンタルスペースamayadori。オオカミは古今東西、人との関係が深い生き物でした。アクセサリーから服、絵画など素晴らしい作品ばかりで、オオカミへの好奇心や畏れの気持ち、オオカミに象徴される野生へのあこがれなどが伝わってきました。当協会では書籍やTシャツの販売、冊子配布などを行いこちらも好評でした。オオカミや自然に興味をもつ入口は様々です。アート作品からオオカミに惹かれ、現実のオオカミの役割や、オオカミのいる自然を取り戻さなければいけない理由を知ることにつながれば良いですね。

【オオカミフォーラム in 大阪】

2024年11月4日に大阪・能勢町でオオカミフォーラムを開催しました。当協会の辻本理事による活動紹介や現在のシカ増加問題などの簡単な報告の後、館長の大槻から「森林や農地でのシカ・イノシシ被害とオオカミ絶滅の深い関係」の講演がありました。日本の森林植生がシカの過剰な採食により急速に悪化し生態系全体に影響が広がっていること、それは明治時代以降にオオカミを絶滅させてしまったことが根本的な要因であることを解説しました。ヨーロッパではオオカミの保護と再共存が急速に進んでいることや、全国アンケート調査でオオカミ復活に40%台賛成が集まっていることなどについても解説しました。

当協会学術会員のスティープ・ブラウン氏からは「オオカミと共に生きる:イエローストーンの例」の講演がありました。米国の自然保護の歴史について、イエローストーン国立公園ではオオカミの再導入により自然が復活したこと、オオカミの存在は生態系への利益のほか人間への経済的利益も大きいことなどを解説しました。その自然はオオカミ無しでは維持していけないこと、それは人と自然の両方にメリットがあることが良くわかる講演でした。

【日本の森にもオオカミを】

オオカミ再導入による自然生態系の食物連鎖の復元は、自然科学に基礎を置きつつ社会的な合意が必要となります。でもそれは可能です。100年以上の絶滅期間があったヨーロッパでも、一部の生息地から再分布したオオカミは自然環境になじみ、人間と共存していけることが次々と実証されています。現在日本では狩猟による野生動物管理が推進されていますが、本来狩猟は自然を守るというよりは、自然からの食糧調達、または野生動物から農地や人里を守る方法です。人里から離れた奥山の生態系を維持していくのは人間ではなく生き物自身。その場所にいる全ての生き物が相互作用をして作り上げたものが生態系で、それは自然が作った持続可能な素晴らしいシステムです。ただし生態系は本来必要な生物がいなくなるとバランスを崩してしまいます。欧米で自然を守るために絶滅したオオカミや他の動物の再導入が行われているのはそのような理由からです。

【会員募集!】

シカやイノシシの増え過ぎによって山林の荒廃が進んでいます。各地でシカの過剰な採食によって、森林の植生が減退・消失し、土壌が流失し、山地の土砂災害まで発生しています。農林業の獣害や動物との交通事故、人身被害も増加しています。(一社)日本オオカミ協会の会員になってオオカミ再導入による食物連鎖の復元・自然の再生についてより深く知り、一緒に素晴らしい自然を守りましょう!

熊野の森オオカミみゅーじあむ

〒647-1731和歌山県田辺市本宮町本宮1091-3 kumano森のふくろう文庫内
アクセス 熊野本宮大社うら ・ 駐車場あり(5台分) 
開館時間10時~17時  不定休  入場無料
毎週日曜10時~17時はオオカミ協会会員による展示解説あり(随時) 
運営団体 一般社団法人日本オオカミ協会

【お問合せは下記フォームよりお願いします】

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