第8回全国オオカミアンケート調査(2016年)速報
当協会による2016年1月1日から12月31日の間に実施された第8回全国オオカミアンケート調査は全国から11,395件の回答を集めた。会員は、公園、街路、駐車場、各種イベント会場などで直接回答を求めるとともに、友人、知人にも依頼した(家族、親族への回答は求めず)。この調査は乏しい資金環境下での実施であるため、大手メディアが実施しているような抽出手法を使えなかったので、とにかく全国各地のいろいろな環境下で実施し、回答者数を増やすことにより回答の偏りを解消するという方法を採った。しかし、11,000以上の回答者数は、十分民意を反映する結果が得られたものと考えられる。
民意はオオカミ賛成へ:
政府与党、行政は民意実現に向けてオオカミ復活に舵を切れ!
2006年以降増加に転じたオオカミ復活賛成者数は、前回4年前の第7回と比べてさらに5.2ポイント増加し、45.6%となった。これに対して、第1回目(1993年)には44.8%と第一を占めていた反対者数は、ずっと減り続けてきたが、今回も同様で、前回よりも2.6ポイント減って僅かに11.3%と下がって、賛成の4分の一に過ぎなくなった。わからないとの保留回答者数も2.6ポイント減って、43.1%となった。保留回答は初回から第4回(2002年)54.0%に向かって増加し、第6回(2009年)まで50%以上だったが、その後減少に転じ、今回も同様に減少していた。
こうしたオオカミ復活に関する民意の変化は、政府与党の獣害対策への疑い、不満、批判の反映であろう。鳥獣害対策特別措置法(4年期限)が動き始めて3期目になるが、依然としてその効果は判然としないどころか、シカやイノシシの個体数も分布域も増加し続けている。そのため、とりわけ森林生態系被害は拡大の一途にあり、被害対策費は年数百億円台から1千億円台へと膨れ上がる一方である。頭数管理、ジビエ振興と莫大な税金を使い続けているが、ますます問題の解決は見通しがつかなくなっている。これは事実を見ようとしない政府与党の政策担当者の責任であり、これを見逃している与野党議員の無知が原因である。
このアンケートからいえることは、獣害対策に関して政府与党は国民から愛想をつかされつつあるということである。オオカミ反対意見は90年代には主流だったかもしれないが、現在は少数派になり下がった。オオカミをいつまでも誤解し、偏見を持ち続けた結果である。政府与党も同様である。真実を見ようとしないで民意から目を背け続ける政治家や専門家は民主主義社会の担い手とはいえない。保留派の多くはオオカミを恐ろしい蛮獣であると誤解し続けているようである。この誤解が解けるのは時間の問題である。国際社会はオオカミ虐待の時代を抜けて、復活保護が潮流となった。保留派は追っ付けオオカミ復活に賛同し、オオカミ復活はますます多数の民意の強い賛同を得ることになる。政治はいつまでもこれを無視し続けることは許されない。オオカミの復活は自然生態系の保全だけでなく、民主主義の普及に貢献します。
JWAオオカミアンケート調査グループ