講演会「モンゴルのオオカミ研究と保護」

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◆講演会「モンゴルのオオカミ研究と保護」◆

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大草原の自然生態系と、そこに住む生き物たちと人々の暮らしについて知ろう!

 日本でのハイイロオオカミの復活は、海外からの再導入しか方法はありません。中国、ロシアなど近隣国には同じ種であるハイイロオオカミが広い地域に数多く生息しており、モンゴルも再導入候補国の有力候補として考えられています。しかし、同国におけるオオカミの生息状況については殆ど知られていません。それにもかかわらず、同国へのオオカミサファリツアーを企画運営する組織の存在も知られていたりして、誠に嘆かわしいことです。

オオカミ

 今回、酪農学園大学の招聘研究員として滞在中のオーガンバヤル・ガンボルド氏に同国のオオカミの生態と生息状況についてお話していただけることになりました。ガンボルド氏は、同国フスタイ国立公園(面積約5万ヘクタール、丹沢山地とほぼ同大)で、保護管理官としてオオカミをはじめとする野生動物の研究と保護管理に従事している若手の専門家です。

 モンゴルの自然生態系の中でオオカミがしっかりと保護されていることは、将来オオカミを復活させなければいけない日本の自然保護にとっても喜ばしいことです。しかし、モンゴルの近・現代史は封建主義から社会主義へそして自由主義社会へと大きく変動し、決して穏やかなものではありませんでした。そのたびに社会経済は大きく揺れ動き、人々の自然観も変化してきました。そうした中にあっても、人々の努力あって、現在、同国の自然保護区は大小100か所以上、国土の17.2%を占めるに至っています。同氏が勤務するフスタイ国立公園は、野生から姿を消したモンゴルノウマが西欧の動物園から再導入された保護区であることでも知られています。この野生ウマもいまではしっかりと自然生態系に組み込まれ、アカシカ、ノロジカ、モンゴルガゼル、ターバガンなどとともにオオカミの捕食の対象として食物連鎖網を織りなしています。

モンゴルノウマ

 広大なモンゴル草原は、東は大興安嶺へ、西はハンガリー草原へと連なり、険しい山岳と大森林に慣れ親しんだ日本人にとっては想像のスケールをはるかに超えるものがあります。かつて、この草原にはモンゴルガゼルの大群が地平の果てまで群がっていたのです(20世紀初頭には北京市郊外にも生息)。彼らは時速70㎞以上。時速50㎞台のオオカミたちはこの俊足のガゼルをどの様に狩っているのでしょう。モンゴルノウマはオオカミの捕食をどの様に凌いでいるのでしょうか。オオカミとアカシカの関係は?ノロジカとは?すぐに穴に逃げ込むターバガンをオオカミはどのように捕まえるのでしょうか?羊やラクダ、馬などの遊牧で生計を立てる遊牧民たちはどのようにオオカミを考えているのでしょうか。

アカシカ

 大草原の生命が織りなすネットワークへの興味は尽きません。フスタイ国立公園には毎年、フランス、アメリカ合衆国、カナダなどの海外から多くのツーリストの訪問があります。十数年前には日本オオカミ協会もツアーを組んでこの地を訪問したことがあります。可愛いオオカミの子育ての様子が「素晴らしい宇宙船地球号」で紹介されたこともあります。欧米とは異なる社会の中で共存してきたモンゴル人とオオカミの関係について知る貴重な機会です。今回のガンボルド氏の講演をきっかけにモンゴルへのオオカミツアー再開、日蒙自然保護交流などが始まるかもしれません。期待したいものです。多数の方々のおいでをお待ちしています。ぜひお越しください。

【日時】2019年1月19日(土) 13時30分~16時(開場13時)
【場所】中央区立環境情報センター 研修室1(東京スクエアガーデン6階)
    〒104-0031 東京都中央区京橋3丁目1-1(東京駅八重洲口から徒歩7分)
    https://eic-chuo.jp/access/
【講演】
  ◎『JWAの活動とガンボルドさんとの出会い』 大槻国彦(JWA理事)
  ◎『モンゴルのオオカミ・フスタイ国立公園における最新の研究』
    オーガンバヤル・ガンボルド(Uuganbayar Ganbold)氏(同国立公園保護管理官)
   〔日本語通訳つき〕
【参加費】無料
【定 員】45名 ※要申込
【申込先】満員につき受付終了しました
【主 催】成熟都市とオオカミ・研究会
【共 催】(一社)日本オオカミ協会

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