丹沢で自然再生の活動をされている皆様に伝えたいこと

丹沢の自然再生の活動をされている皆様へ

丹沢の自然再生をテーマとしたシンポジウム-見えてきた丹沢再生-(10月30日、「丹沢大山自然再生委員会」主催)が開かれるそうですね。丹沢についての、私の見聞をお伝えしたいので聞いてください。

丹沢周辺の伊勢原や秦野でヒルが多くなっていると、いろいろな人から聞きます。表尾根ではササが枯れ、シカが忌避するマツカゼソウばかりが目立ちます。それより奥の山域には入っていませんが、どのような状態なのでしょうか。

ハンターのFさんから、「山中はシカ柵だらけで、狩猟に支障がある」と聞いたことがあります。また、沢登りをする人からは、「以前は考えられなかったことだが、沢の中にシカの死骸があった」という報告を聞きました。もちろん山中ではヒルが大変多いとのことです。私も晩秋の大山でヒルを見て驚きました。

神奈川の水がめ宮ヶ瀬湖の周辺は、以前日本オオカミ協会の活動で案内してもらった伊豆の松川湖の周辺と同じような景色になりつつあります。湖畔の広場を中心に、毎晩たくさんのシカが来ているようです。植樹した若木はすべてネットが巻かれていて、湿地にはシカの足跡だらけです。初夏に行った時は、ススキの若い葉が好んでかじられているようでした。登山道の入り口には、堂々とヤマビル注意の看板があります。水源の沢に進むと、マツカゼソウが目立ちます。

湖畔の公園の人の話では、芝生広場のシカ糞を毎朝始末しているとのこと、花壇の花はすべて食べられてしまうそうです。(ですから花壇はありませんでしたが、最近厳重に柵と網で囲われた花壇ができていました。)

ハイカーや登山者への危険を危惧する方がいますが、オオカミの再導入による野生オオカミの復活と生態系の復元がとても大事なことだと思います。私の山岳会では、いつの間にかほとんどの会員がオオカミ導入に賛成しています。説明を続ければ、十分に理解してもらえます。

問題は説明を聞かない自然保護関係者たちです。今日も、里山保全のボランティアをしている人たちに話しかけましたが聞いてもらえませんでしたね。悲しく思いました。それから、第2次神奈川県ニホンジカ保護管理計画 平成19年3月http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/15858.pdf
3ページにある次の1節は知っておいてほしいです。

<成果と課題>
(ウ) 計画どおり進まない管理捕獲
管理捕獲を実施した地域は、急峻な地形であることに加え、銃器を用いるため、登山者への配慮から実施時期が限定されるなどの理由により、捕獲目標を達成することが困難となっており(最高で目標の70%程度)、捕獲実施方法の検討が必要な状況となっている。

このように書かれているのですよ。

「丹沢の自然の中で、長い時間をかけて、生きものたちは、お互いの関係のバランスをよく保ってきました。たった1種の生きものが丹沢から姿を消しただけで、このバランスが崩れてしまうかもしれません。」
これは、丹沢大山自然再生委員会「私たちのくらしと丹沢」http://www.tanzawasaisei.jp/kurasitotanzawa/15.html
に書かれている言葉です。

オオカミは明治時代まで丹沢にいましたが、今その言葉どおりのことが起きています。

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