兵庫、養父市でのセミナー報告
はじめ半信半疑、盛り上がって終了!
NPO法人ひょうごエコ市民ネットワーク主催
「山の動物と森のあり方を考えるⅣ:シカ・イノシシ等の被害防止に向けて」
(養父市八鹿町県立但馬長寿の郷2012年11月3日(土)13:30~17:00)
事前の宣伝にも関わらず参加者34名とやや低調でしたが、既に開催されたこのシンポシ
リーズでは参加者たった一人だけのこともあったと聞きましたので、今回は大盛会という
べきでしょう。何しろ養父までは新大阪で新幹線を在来特急に乗り換えて3時間余を要す
る人口の少ない山間地帯なのです。会員数が少ない団体にもかかわらず善戦の様子、どう
ぞふるさとの山河を守るために頑張ってください。
ところで、驚いたことには、JR沿線は猪鹿柵が途切れません。姫路へ抜ける播但線沿線も、どこまでも柵が続いています。都市住民には想像できない風景だろうと思います。
日本オオカミ協会会長の基調講演『オオカミ復活:農林業獣害問題解決と生態系をも守るために』の後は3人の地元パネラー(地元農林事務所担当課長、県森林動物研究センター研究員、県生物学会副会長前田常雄氏)が加わっての「フォーラム」に移行。司会は大西英綱氏(同会理事長)。「オオカミに賛成だから講演に来てもらったわけではない」とは理事長の事前のお話し。ここでも、赤ずきん症候群的疑義から始まるいつもながらのパターンでしたが、質疑は途切れることなく、予定を大幅に超過する熱の入りようでした。
パネラーからはこれといった反オオカミ的コメントはありませんでした。当初、オオカミ復活に反対ないしは半信半疑の主催団体役員諸氏も次第に理解が進んで、終わるころにはほぼ抵抗感が薄れたのがはっきりわかりました。しかし、読売新聞11月6日版には「大西英綱代表は『実現にはハードルが多いと思うが、これだけ思い切った対策を検討しなければならないほど、獣害が深刻であることを認識しなければならない』と話していた」と紹介され、また、毎日新聞但馬版11月4日には、同代表コメントして「獣害対策として興味深い。ただ海外からの導入は生態系への影響などを慎重に考える必要があると思う」との記述を見る限り、依然、腰が引けているかなという感じがします。しかし、続く懇親会では参加者一同盛り上がり、疑念はかなり氷解した様子。遠路はるばる足を運んだ甲斐がありました。間違った考え方で絶滅に追い込んだオオカミ復活は、目先の獣害対策だけでなく、益害を超えた私たちの責務であることをしっかりと認識することが大切なのです。