講演会「オオカミの復活で森林を守る」盛会で終了!

三島の自然を守る会主催
講演会「オオカミの復活で森林を守る」
盛会で終了!

2014年5月11日(日)14:00~16:00、三島市民活動センター会議室
参加者は会場一杯の45名

主催は「三島自然を守る会」(大沼倶夫代表理事:1977年設立、三島市とその周辺の自然保護活動をリード)
講師:丸山直樹(日本オオカミ協会会長、東京農工大学名誉教授)

会場入り口にドイツでオオカミの保護活動を進めている自然保護団体NABU(1898年設立、会員数45万人)からの寄贈の等身大のオオカミパック(成獣2頭、子供3頭)が会場入り口で歓迎。会場内には、シカの食害でスズタケや下層植生が消えた天城山、南アルプスの主峰、北岳のお花畑の今昔と今日の山野荒れようを比べる写真が展示され、参加者の関心を引いていた。オオカミ復活の必要性を強く訴え、観る者は納得である。

シカの摂食によって上部の斜面が露出し、雨にたたかれて流出し、押し寄せる土砂(富士山青木ヶ原)

シカの摂食によって上部の斜面が露出し、雨にたたかれて流出し、押し寄せる土砂(富士山青木ヶ原)

 

 

 

 

 

 

 

 

大沼会長(三島自然を守る会)は「隣町に畑を借りて農作業をしてきたが、収穫時になると猪の食害に遭っている。JWAのオオカミ再導入に関する主張には強い関心があり、今日の講演会になった」と挨拶。

開会の挨拶をする「三島 自然を守る会」大沼倶夫代表理事

開会の挨拶をする「三島 自然を守る会」大沼倶夫代表理事

 

 

 

 

 

丸山会長はパワーポイントを使って、明治政府の誤った駆除政策などで日本から生態系の頂点捕食者であるオオカミが絶滅。この結果、シカ、イノシシなど中・大型の野生哺乳類が増え続け、農林業被害はシカとイノシシだけで年160億円を超えて増え続けている。国や地方行政もその駆除など被害防除に莫大な予算をつぎ込んでいるが、効果は上がっていない。加えて、狩猟者の高齢化を伴う減少が深刻で、現在、ピーク時1970年代52万人の4分の一程度。富士山麓を例に、シカ害による生態系崩壊の進行過程を紹介。

丸山会長は講演の最後で、オオカミ導入について「環境省や農水省などの官僚の抵抗は依然強い。しかし、状況は大きく変わり、世論は我々に味方している」と2例を挙げた。

【1】今国会の衆議院環境委員会で篠原孝氏(民主)、百瀬氏(維新)がオオカミ復活を求める質疑を行った。
【2】「第7回全国オオカミアンケート調査(2012~2013年)」の結果で、オオカミ再導入賛成が大幅増の40%。反対は大幅減の14%。

質疑は途切れることなく予定時間の30分を超えて行われ、「国がどこかに特区をきめて試行できないか」とか「伊豆半島に導入するとしたら、何頭のオオカミが必要か」などの導入に前向きなものが相次いだ。

また、参加者からJWAへの加入者が現れたり、静岡新聞の取材があったり(翌朝刊に掲載)、有意義な講演会であった。

(記:仁杉秀夫、JWA静岡県支部長)

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