山形市では熱心に盛り上る(開催レポート①)
花の季節は足早に列島を駆け抜けています。お花前線の北上に逆らって、私たちのオオカミフォーラム2023は山形を皮切りに最終会場の鹿児島へと南下を開始しました。
山形フォーラム(4月1日山形駅前やまぎんホール13:30~16:30)は晴天、お陰様で良い雰囲気で盛り上がりました。参加者18名+JWAスタッフ7名、計25名。東北地方で初めてのオオカミ集会は成功でした。
山形県ではここ10年でイノシシ、シカ、サルが急増し、上山市や天童市を中心に、ブドウ、サクランボなどの果樹農家、水稲農家は獣害に大変困っています。スティーブ・ブラウンさんは、昨年の豪雨でイエローストーン(YSP)北部のラーマ―渓谷からの河川が大氾濫して道路が崩壊。3か月通行不能。ラーマ―渓谷はエルクジカ、バイスンが増えすぎている中心地のひとつで植生が極度に荒廃。森林も各所で消滅。これが原因で土砂流出。日本の千曲川の水害にも触れ、これも上流部のシカによる荒廃が関係していることのではないかと指摘。しかし日本の報道はシカの激増のことがまるで触れられていないのは不思議であると述べていました。シカの増えすぎによる環境破壊にもっともっと関心を持たないといけませんね。遠野市から駆け付けた菅原卓さんなどの話をかいつまむと、山形県のシカは、岩手県の五葉山一帯で増えた個体が、北と西に分布を拡大、岩手県北部から青森県へ、そして南下して秋田県で増加し、さらに山形県へ南下。もう一方は、栃木県日光、足尾山地一帯から会津に拡大した勢力がさらに北上して山形県に侵入したようです。御多聞に漏れず、東北でも積雪量の年々の減少、ハンターの激減と高齢化(とりわけ銃猟ハンター)、山村社会の衰退が獣類の増加の追い風になっていることは明らかです。このままでは手の打ちようがありません。
東北地方でも行政の対応は相変わらず。「鳥獣保護及び狩猟法」による第二種特定種管理計画(環境省・都道府県)と「鳥獣害防除特別措置法」による被害防除計画(農水と地方自治体)で対処。しかし、これは既に関東・中部以西の地域で十数年にわたって実施されてきたが効果はなく、シカ、イノシシ、サルを減らすどころか、増やしてきたのが実績。これから東北地方も間違いなくこれら二つの法律のおかげで西日本並みに手が付けられなくなることが予想される。これへのカナメとなる対処は、両法律に「オオカミの再導入・復活の必要性」を書き込むこと。このためには一層の国民の理解と支持が不可欠。
明日4月日は第二ラウンドの伊東市伊豆高原(すでに定員一杯)、そして4月7日、東京の学士会館(すでに50名オーバー)と続きます。その後の日曜日4月9日はいよいよ金沢市です。これはフォーラムですから大勢の人が集まらなくてもよいのですが、多くの参会者を得ているのはそれだけに国民が獣害に困っている証拠だと思います。フォーラムでは参加者を含めて、目的達成に向かって意見を交換し考えをまとめていくことが大切です。20人前後はフォーラムにはちょうど良いと思います。参加者が活発に自分の考えを披露してよい結論を導き出すのがフォーラムですから。本当は、こうしたイベントは行政が積極的に取り組み、広範な市民の声を聞き、政策に反映させるべきなのです。
(2023年4月4日記 JWA事務局)