オオカミ移入種説にピリオド:ハイイロオオカミと遺伝子同一を確認

http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/201202227665795243#jgid201202227665795243SSK-000012

◆ニホンオオカミ固有種説はやはり間違いだった!
石黒直隆岐阜大教授のDNA分析報告(2013)

石黒直隆教授(岐阜大農)日獣会誌65(2012)

から抜粋すると:

1.形態的計測からは、エゾオオカミは大陸系のオオカミに分類されるのに比べて、ニホンオオカミは、タイリクオオカミと犬との中間に位置している。

2.mtDNAの比較では、エゾオオカミは、アジアとアメリカ大陸に生息するハイイロオオカミのグループに位置し、特にアジア大陸のオオカミに近い。オオカミは氷河期にユーラシア大陸とアメリカ大陸を行き来していたと推測される。北海道のエゾオオカミはユーラシア大陸からサハリンを経由して渡来した系統である。

3.ニホンオオカミ(7体)由来のmtDNAは、系統図で一つにまとまって単系統(クラスター)を形成する。このクラスターには大陸系オオカミは含まれない。日本に生息していたニホンオオカミが、大陸に生息するタイリクオオカミやアメリカ大陸のハイイロオオカミとは離れた存在であり、孤立化した集団であることを示している。捕獲地域によるニホンオオカミの集団間の遺伝的な差異は見られず、かなり均一な集団であったことが推測される。

4.渡来時期:エゾオオカミは、ベーリング海やユーラシア大陸―サハリン―北海道が繋がった最終氷期(17,000~22,000年前)が最も妥当な渡来時期かと思われる。北海道と本州を隔てる津軽海峡は、完全に繋がらなかったと考えられていることから、エゾオオカミの分布は北海道に留まり、本州までは広がらなかったのではないかと思われる。

5.ニホンオオカミは形態的な特徴からして日本への渡来時期は古く、朝鮮半島と日本が陸続きであった時代や氷結により渡来可能な時期であったことを考慮すると約13万年前くらいまでさかのぼるのではないかと思われる。ユーラシア大陸の島嶼部でのニホンオオカミと同じ系統を示すタイリクオオカミの依存種(遺残種?)がいないか調査してみたい。

以上が石黒教授の報告からですが、北本州(関東北部および東北地方)の検体がないので、エゾオオカミとニホンオオカミの関係はまだ確定的ではありません。これはさておき、エゾオオカミはもちろん、ニホンオオカミもハイイロオオカミと同種であることが確認されたので、再導入での次の問題は、タイリクオオカミとニホンオオカミの生態学的な比較だけです。しかし、これも、タイリクオオカミおよびアメリカオオカミの食物連鎖上の位置づけは分かっています。ということで、大陸の近隣地域からのオオカミを再導入するというJWAのこれまでの方針の正しさが石黒教授の報告で裏打ちされたことになります。

ニホンオオカミは日本だけに生息していた固有種ではありません! ハイイロオオカミと同じ種 だったのです!】

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