東京オオカミフォーラム
「キルギスのオオカミの生態と保全/日本人のオオカミ観形成への影響」
(話題1)キルギスのオオカミの生態と保全
泉山茂之(信州大学山岳科学総合研究所教授)
(話題2)シルクロードと日本人のオオカミ観
丸山直樹(JWA会長・東京農工大学名誉教授)
(フォーラム)Q&A
石川裕一(JWA副会長・北海道大学フェロー)
【ねらい】
ハイイロオオカミはユーラシア大陸の大部分に生息するが、ヨーロッパを除いて、その
生態および人との関係については一部地域を除いて殆ど研究されていない。今回の泉山氏
によるキルギスでの保全生態学的研究は貴重である。この地域にあってもオオカミの主要
な野生餌は乱獲によって減少しているため、オオカミはヒツジ、ヤクなどの家畜を代替餌
として捕食し、地域住民との軋轢を作り出している。これは、シルクロード沿線社会の遊
牧文化に根差したオオカミ観の形成に無関係ではない。
こうしたキルギスを含む中央アジア社会のオオカミ観は仏教とともにシルクロードを経
由して古代中世日本へ伝来したことであろう。日本人のオオカミ観は複層を成す。古代か
らのアニミズム信仰のものと明治以降の欧米キリスト教由来の害獣観の二つはよく知られ
ているが、別にシルクロード由来の第三のルートも存在し、仏教的慈悲観と害獣観をもた
らしたであろう。
さらに、現代では、動物愛護観に加えて新たなオオカミ観であるエコ観が注目されてい
る。これらのオオカミ観は、互いに交じり合っているのか、上塗りされているのか、オオ
カミの復活を考えるにあたって検討すべき課題である。
講演者プロフィール
泉山茂之:1959年生。理学博士。信大教授。中部地方のニホンザル、ニホンジカ、ツキノワグマの生態、被害対策など研究。キルギス共和国でオオカミの保護管理を研究。
丸山直樹:1943年生。農学博士。東京農工大名誉教授。ニホンジカ、イノシシなど野生獣類の生態と保護管理を研究。オオカミ復活研究とその運動で北米、欧州、アジアを歴
訪。自然保護文化論。
石川裕一:1955年生。北大法卒。外国駐在商社マン歴17年後、米国ジョンソンコントロールズ社日本法人IFM代表経て取締役。株式会社ぷらう代表取締役。北海道大学新渡戸
カレッジフェロー。自然と人間のあり方を考究。公社)国策研究会理事等歴任。
入場無料
日時:11月17日(金)17:30~21:00
場所:世田谷区北沢タウンホール、ミーティングルーム(定員72名)
〒155-0031東京都世田谷区北沢2丁目8-18
主催:一般社団法人日本オオカミ協会(JWA)
静岡県賀茂郡南伊豆町伊浜2687-56
TEL&FAX 0558-64-8800