カモシカが危ない!

カモシカ

九州のカモシカを救うためにもオオカミの再導入を急げ!

「大分など九州3県でニホンカモシカ激減 95年の10分の1に」大分合同新聞(2020/11/23)掲載のニュースです。この記事によると、《九州では大分、熊本、宮崎3県だけに生息する国の特別天然記念物「ニホンカモシカ」の推定頭数が、ピークの1995年ごろと比べ、10分の1となる約200頭まで減少したことが各県の合同調査で判明した。最大な原因は、シカの増加で餌となる植物が減ったこと、シカとの種間競争で劣勢にあること》。

 こうした状況は、今や九州だけでなく、本州各地に普通にみられるようになりました。シカより一回り小型のカモシカは、シカの激増地域を避けて、シカの少ない里山地帯にまで押し出されてきているのです。九州のカモシカは、このままでは、近々確実に絶滅することが予想されます。野生動物の集団遺伝学では『個体群の生存限界最小個体数(MVP:minimum viable population)』は、500頭くらいではないかと目されています。1000頭というさらに厳しい説もあります。この基準からすると、九州のカモシカはもう手遅れになっているのかもしれません。しかし、個体数の回復をはかれば希望はもてるかもしれません。望みは捨てないで、必要な手を打つべきです。

 第一に、増え過ぎているシカの生息密度を減らすこと。現在、九州のカモシカ生息地のシカの生息密度は1㎢あたり40頭、50頭といった信じられないような超高密度になっています。このため、森林植生は荒廃し、土砂流出が発生し、洪水が発生しやすくなっています。この密度を現在の10分の一以下(1㎢当り数頭)にまで下げないとカモシカは生き残れません。しかし、シカを減らすための唯一の方策である狩猟とジビエ振興策の組み合わせは全く役に立ってきませんでした。ハンターの激減は止まりません。最後の希望はオオカミ再導入しかないのです。行政だけでなく自然保護団体もしっかりと目を開いてオオカミの本当の生態を勉強してください。そしてオオカミに対する偏見を捨て去りましょう。いつまでもオオカミを怖がっていてはなりません。オオカミはクマのようにやたらに人を襲うことはありません。一刻も早く、オオカミ再導入を実現しましょう。

九州のカモシカと自然生態系を救い、人々の生活と生産の安全を守ることができるのは『オオカミ再導入』しかないのです!

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