シカ対策への疑問

私はオオカミ導入以外に自然を再生する道はないのだろうかと、しばらく考え悩んで日本オオカミ協会に入会したものです。定年までの5年間を学びに充て、その後オオカミ復活を積極的に訴えるつもりでしたが、いやあ驚いた。この4年間のシカの増加と山の荒れようです。

4年前にも、これはなんとかしなければと危機感を持ったのですが、その時の状況と、今の状況と比べるならば、それほど驚くようなことではなかったのではないかと思うのです。私の自然に対する感性はこの間にかなり鈍くなったに間違いありません。

オオカミの目を通して自然を見ると、局地的にシカ害が減った、生息数が減ったという話はあっても、いくら捕獲数が増えたといっても、効果的な対策がとられているところは日本中どこにもないように思われます。行政や研究者は、対策が局地から広い地域で連携され、新たな狩猟方法やわなが実用化されること、シカ肉料理が開発されることを、対策が進むことと誤解していませんか。

シカ害の怖さは、いくつも仕掛けられた時限爆弾の恐ろしさだと思います。ある時下草がなくなる。小鳥や小動物がいなくなる。樹木が枯れる。山がくずれる。その時限爆弾の設置個所は増え続け、新たに仕掛けられる爆弾は、作動時間が早くなり、破壊力はより大きなものになっています。しかし、もっと恐ろしいのは、「自然の中に捕食者オオカミがいないのが日本の本当の自然の姿なのだよ。外来動物なんてとんでもない。さあ、みんなで大切な自然を守ろう!」と言っている、のんきな自然保護者達ではないでしょうか。

オオカミ再導入に対しては、そもそも外来動物を入れること自体が間違いだという意見があります。しかし、大切な種を絶滅させたという取り返しのつかない誤りに気付き、早く是正してほしいことです。私は、オオカミの再導入を考える以前は、世の中に、人が絶対にしなければいけないことというものはないと思っていました。そのような考えは非常に独善的なことと警戒していました。しかし、人は自然の中から大切な捕食者を絶滅させるという絶対してはいけない誤りをしました。それを海外から導入して元に戻すことは人以外にできないのですから、好き嫌い、損得、不安、宗教、政治的信条等あらゆる主義主張を超えて、これは自然のためにしなければならないことと考えています。でも、人間社会のことについては垣根を越えようと広い気持ちを持てても、こと自然のことになると、人間中心に人間対自然の関係を考える科学的?自然観を超えるのは難しいのでしょうかね。

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